新型コロナが客室乗務員を直撃 アルコールが切れお酒で手を洗うケースも
狭い空間に大人数を収容する飛行機。新型コロナウイルス感染の不安を抱えながら接客する客室乗務員の苦悩は計り知れない。
新型コロナウイルスの感染者数が増えるほどに見えてくる、潜伏期間を含む感染者たちと濃厚接触する機会が多い職業。医療行為や接客業に携わる人々の間でやはり新型肺炎の発症者が増えているが、客室乗務員もその危険度が高いとされる人々だ。
■相次ぐ減便や運航中止
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、旅行そのものを控えるようになった人々。これにより世界各地のエアラインが利用者数の大幅な減少と減収に苦しめられ、同時に株価も下がり、ついにイギリスの航空会社「フライビー(Flybe)」が破産申請を行った。
またほかの会社でも、減便や運航中止の決断により乗務員のリストラやレイオフが本格化するものと予想されている。
■エアロゾル感染におびえる
だが客室乗務員にとっての不安の種は、リストラやレイオフばかりではない。機内の空気清浄システムには大変優れたフィルターが搭載されているが、あの狭い空間で新型コロナウイルスの感染者がくしゃみ、咳をしたらどうなるか。
感染していても無症状、ないし軽症で感染の自覚がない病原体保有者が乗っている可能性がある旅客機に乗務し、飲食物の提供の際には近い距離で会話も交わす。「自分もいつ誰にうつされるか…」と底知れぬ恐怖に怯える日々だという。
■必需品の消毒用アルコールが…
米国の格安航空会社「ジェットブルー航空」は、客室乗務員のための使い捨て手袋とクロロックス・ワイプという消毒用アルコールを含んだおしぼりを機内に配備している。一方、消毒用エタノールの配備もなく、マスク装着も許されないという航空会社もあるようだ。
ひとりの客室乗務員がエアライン名を伏せるという条件でメディアの取材に応じ、「消毒用アルコールの度数60パーセント。それならと私たちはジンで手を洗っています」と答えている。
真似は禁物、決して他人には勧められない方法だが、背に腹は代えられないというのだ。
■9.11並みのダメージ
米国が誇る世界最大規模の格安航空会社「サウスウエスト航空」のCEOは、大手経済メディアCNBCとのインタビューで、今の航空業界が置かれている状況について「あの9.11アメリカ同時多発テロの後に匹敵する深刻さ」と表現している。
中国の格安航空会社がわずか420円であるフライトを提供したことについても、「それで旅客数は取り戻せない。人々は今、飛行機で旅行などしたくないからだ」とあくまでも悲観的だ。
サウスウェスト航空でも顧客の旅行キャンセルが相次いでおり、新しい予約も急激に減少しているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)