体調不良が続く男性 「新型コロナウイルスに違いない」と家族を思って自殺

今のタイミングで重い風邪を引いてしまったら、「新型コロナウイルス感染症かも」と思う人は多いのかもしれない。

2020/02/16 08:20

寝込む男性
(Cineberg/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

中国・湖北省を中心に猛威を振るい、世界中にジワジワと感染が拡大している新型コロナウイルス。そんな中、このウイルスに関連する痛ましい自死の話題が伝えられた。


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■薬が効かず焦りが募る

インド南部アーンドラ・プラデーシュ州のチットール地区に暮らしていたバラ・クリシュナさん(50)。

彼は2月初めに風邪をひき、熱や咳が出て5日にティルマラの総合病院を受診。医師に「何かのウイルスに感染したのでしょう。マスクの着用を」と告げられた。だが処方された薬があまり効かず、新型コロナウイルスに感染したと思い込んでしまったようだ。

そこからは自室に閉じこもるようになったクリシュナさん。インターネットで新型肺炎関連のニュースや動画を見るたびに苛立ちや焦りを募らせていった。

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■近くの州で複数の感染者

妻や子が「感染が疑わしい人との接触もない。新型コロナウイルスではないから大丈夫」と声をかけても「近寄るな」と石を投げつけるなどし、クリシュナさんは徹底して家族を遠ざけるようになった。

そんな中、同じくインドの南部に位置するケララ州では留学先の中国・武漢市から戻ってきた学生3人について新型コロナウイルスの感染が確認され、州民の3,000人以上が検査を受けた。

この事実を知り、クリシュナさんは10日夜には「自分も新型肺炎に違いない。妻と3人の子供にうつしてはならない。死ぬのは自分1人だけ」などと口走るようになっていた。

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■妻と子供を守るため

クリシュナさんは11日早朝、こっそりと家を出て生まれ故郷であるカンドリーガ地区に向かう。そこで母の墓の近くにある木にロープをかけて首を吊り、自らの命を絶った。

妻に発見されれば自殺を阻止されると予想したクリシュナさんは、自宅を出ると玄関ドアに外側から閂(かんぬき)をかけ、簡単には開かないように工夫していた。

その無念の死に、遺族は「新型肺炎の診断が下ったわけではないのに」と深く嘆いている。


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■インドで流行すれば壊滅的状況か

環境汚染がはなはだしく、呼吸器への慢性的なダメージがそもそも心配されてきたインドの人々。

人口密度が高く、公衆衛生および医療システム上の問題を抱えているこの国で新型コロナウイルス感染症が爆発的な流行に至れば、大変深刻な状況に陥ることが予想されている。

新型コロナウイルスに感染した人の約20%が病院での治療を必要とすると言われており、専門家たちは南アジアとアフリカの防護・診療体制とベッド数について大きな懸念を示している。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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