新型ウイルス感染が相次ぐクルーズ船 全員検査しなかったことに野党も疑問符
横浜沖に停泊している大型クルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号の船内で新型コロナウイルスの感染者が相次いでいる。野党も政府の対応に疑問符を投げかけた。
いやはや、一体いつ収束するのだろうか。横浜港に停泊している大型クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」で発生している新型コロナウイルスの集団感染のことだ。
■船内で174人が感染
乗員・乗客は3,711人。乗員乗客を船内に閉じ込め、大規模な検査が始まって一週間が過ぎた。この一週間で174人の感染が確認されている(12日)。事態は収拾するどころか、加速度的に感染が広がるばかり。
厚労省は水際対策として、ウイルスの潜伏期間が過ぎる14日間は船内で待機するように超法規的措置をとっているが、はたしてそれで収まるのか。中国では、潜伏期間が24日に及んだケースが政府専門家チームによって公表された。
■全員検査しておくべきだった
野党幹部からもこの新型コロナウイルスについて意見が相次いだ。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は12日の会見で、「一分一秒を争う事態だ」とし、「超党派による緊急立法協議会のようなものを設置して、少しでも早い対応をとっていくべき」と主張。
「議院運営委員会で提案し、前例がないと却下されたが、前例・慣例にこだわっていると、どういう事態になるか国民の方がよく理解している」と話す。14日午後には、党として新型コロナウイルス対策会議を開くという。
筆者はこの発言を受けて、「どのように事態を収束させていくべきか」と問うたところ、「本来は3,711名の方を最初の段階で全員検査しておくべきだった。陰性であれば一度下船して追跡調査をしていくことをやっていれば、現在のような状況になっていない」と回答。
「中途半端な対応が患者数を増やしたが、遅いとはいえ、一日でも早く全員検査をして陽性・陰性に仕分けをしていくべき。このままでは全員が感染して収束するという事態にもなりかねない」と懸念を述べた。
■全員検査できるのにやらない不思議
それにしても、なぜ早期に政府はクルーズ船乗員・乗客の全員検査をやらなかったのか。立憲民主党・福山哲郎幹事長の会見で質してみた。
福山氏は12日、内閣府・厚労省・国交省の担当者を呼んで、現状のコロナウイルスについてヒアリングを行い、早期に3,711名の全員検査をしなかった理由について質したところ、明確な回答はなかったという。
「『もう一回、明確な回答を出してください』と担当者に宿題を出した」という福山氏。実際の全員検査は可能なのか。福山氏に対して、官僚は婉曲的ながらも、「できないわけではない」と答えたとのこと。
それ以上について福山氏は「無責任なことはいえない」と前置きした上で、「やれるのであれば、政府は今からでもやるべきではないか」と疑問を投げかけた。
惨事に至りかねない状況だけに、政府は野党の意見にも耳を貸すべきだろう。
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(取材・文/France10・及川健二)