カルト集団リーダーの父親 悪魔払いの儀式で9歳息子を死なせる
子供がイタズラをした、言うことを聞かない、それを悪魔のせいにされても…。
「私の息子の体に悪魔がとりついた。解放のためのエクソシズムが必要だ」と叫ぶ父親と、その命令に従った母親。残虐な行為で命を奪われた幼い少年の父親は、カルト集団のリーダーだった。
■猿ぐつわを口に全身をムチで…
恐ろしいエクソシズムの話題がロシア・スヴェルドロフスク州の州都エカテリンブルグから伝えられた。
ユゴ=ザーパドニ地区の湖のすぐ近くで、デヴィッド・Kくんという9歳の男の子が遺体となって発見されたもので、デヴィッドくんは全身にムチで打たれたような跡があり、声を出せないよう大きな猿ぐつわを口に詰められていた。そのせいで酸欠状態に陥ったと考えられるという。
■父親がカルト集団のリーダー
この事件に関して警察に情報を寄せたのは、亡くなった少年のおばだった。
彼女はデヴィッドくんの両親が、カルト集団のひとつでイエス・キリストの12人の弟子たちを名乗る『the Disciples of Jesus Christ』に所属しており、父親がそのリーダーであることを説明。両親の過激な宗教観や危険な思想について常に心配していたという。
警察はただちにデヴィッドくんの父親であるゼムフィラ・ガイヌリナ容疑者の身柄を拘束。しかし母親はベラルーシに逃亡していた。
■母親は体を押さえつける役
警察はほかの信者についても身柄を拘束。取り調べを行ったところ、ガイヌリナ容疑者が「息子の体に悪魔がとりついた」と主張し、自ら悪魔払いを名乗り出てエクソシズムを行ったことが判明した。
ムチを打つなど残虐な行為を含む儀式が2日間にわたり続き、母親は暴れる息子の体を押さえつけ、信者は成功の祈りを捧げた。だがデヴィッドくんは途中で絶命。ガイヌリナ容疑者の命令により少年の遺体を雑木林に遺棄したことを複数の信者が認めている。
■子供が悲鳴をあげても…
ロシアの新興宗教やカルト集団に詳しいアレクサンドル・ネヴェエフ博士はその『the Disciples of Jesus Christ』について、子供からすべての悪や罪を取り除くよう強く求める危険な集団であると解説。
「常識人にはとても考えられないことですが、その子が地獄に引きずり込まれればもっと苦しむため、悪魔祓いの際にはどんなに悲鳴があがろうと大人はそれに惑わされてはならないと主張する集団です」などと話している。
■いまだ「悪魔」を信じる人々
奇妙かつ邪悪な言動を呈するようになったのは体に悪魔がとりついたからだと信じ、キリスト教の司祭により行われるエクソシズム(悪魔祓い)。オカルト映画『エクソシスト』こそ有名になったが、日本人の日常にはあまり馴染みのない話題だ。
だが欧米ではいまだに多くの人が「悪魔」の存在を信じており、時には医療が必要な病にもかかわらず「悪魔のせい」とみなされることも。小さなエクソシズム行為は、事件として報じられることもなく欧米ではいまだに行われているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)