女児に犬が噛みつき重傷 病院が「示談ではなく裁判」を勧めた理由
室内で放し飼いになっている犬は多い。そして、何が興奮や怒りの引き金になるかわからないことも…。
他人の家で飼われている犬に噛まれて負傷というアクシデントは時おり起きている。飼い主が治療費を全額負担して慰謝料を添え、示談で済ませるというケースがほとんどかもしれない。だが、こういうケースもあることを覚えておきたいものだ。
■少女がジュースを飲み始めると…
そのアクシデントは、観光地としても有名な英国コッツウォルズの小さな村で発生した。
Facebookに「2段ベッド売りたし」という広告を出したある家庭に、「現物を見たい」として訪問日時の約束を取ったウスターシャー州ハニーボーン在住の夫婦。
当日は5歳の娘を連れてその家を訪れ、家具を見るため夫妻だけ上階へ。すると1階でジュースをもらい、飲み始めた娘を飼い犬がいきなり襲ったという。
■36針を縫う大怪我
少女は頬に重傷を負い、血だらけで病院に搬送された。36針を縫うほどの大怪我を負ったその傷跡は痛々しく、医師からは「一生残るかもしれない」と告げられている。
夫妻は娘の治療にあたった病院の医師に、その時の状況について詳しく説明。すると「それは示談にせず警察に被害届を出し、裁判に持ち込むべき案件だ」と強く勧められた。
■法廷で厳しく裁かれた飼い主
自宅にも愛犬が2匹おり、治療費の全額負担ほか誠意を見せてくれれば示談で済ませるつもりだった夫妻。しかし、犬を飼ううえでの様々な法規制を守らない責任は重いと諭され、夫妻も警察への被害届を決断したという。
このほどその裁判が結審。問題の犬を飼っていたジュリエット・マーシュ被告に対し、判事は有罪判決とともに60時間の地域奉仕活動と775英ポンド(日本円にして11万円弱)の罰金刑を言い渡した。
■飼い主の落ち度
法廷で飼い主は、「家に人が訪れるというのにここまで怠慢、落ち度があったとは」と厳しく指摘された。
家庭内に放し飼いの犬がいるのに来訪者にそれを予告せず、玄関や表札付近に「猛犬注意」の札や貼り紙を設けず、放し飼いなのに犬にマズル(口輪)をはめさせていなかった。
日本でもこうしたアクシデントが起きた時、病院、警察、裁判所はこれらとほぼ同じことを問題視し、指摘するであろう。落ち度があればあるほど示談での解決では済まされなくなることを、飼い主なら必ず覚えておきたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)