中国で初のクローン猫が誕生 世界的有名歌手も利用で依頼者は急増
クローン化された犬や猫は病気に弱いのか、寿命はどうなのか。まだまだ結論は出ていない。
かわいがっているペットのクローン化。死の悲しみや喪失感を乗り越えたいとする飼い主の無我夢中な気持ちとは別に、相変わらず否定的な意見が飛び交っている。だがその市場だけは着実に拡大を見せている様子だ。
■中国で進むペットのクローン化
ペットのクローン化を手掛ける企業にどんどん舞い込む飼い主からの照会や注文。ますます需要は増えているとみられ、かつては1千万円超といわれた料金も、海外では今や300万円程度で技術を提供する企業まで現れている。
そんな中、中国では1人の若い男性がブリティッシュショートヘアについてクローン化を依頼。死亡から7か月後となる先月21日に、そのクローンが誕生して「国内初のクローン猫」と認定されたという。
■「大満足」と笑顔の飼い主
「白と灰色の体毛で外見もまったく同じ。性格的にも90%同じと言えます」と話す男性。愛猫を突然亡くし、悲しみのどん底に突き落とされた気分だったが、クローン猫のおかげでやっと笑顔が戻ったという。
そのクローン猫の作製にあたったのは、これまで40匹以上のクローン犬を作ってきた北京の『SINOGENE/希诺谷』という民間企業。技術料はクローン犬で38万元(日本円にして約570万円)、クローン猫は25万元(約376万円)だそうだ。
■世界的有名歌手も利用
世界で初めてクローン化された哺乳動物は、1996年に英国で生まれ7年近く生きた羊のドリー。現在そのはく製が国立スコットランド博物館に陳列されているが、ドリーに同情し、動物のクローン化に否定的な考えを持つ者は今なお大勢いる。
そんななかで昨年、米国の人気歌手バーブラ・ストライサンドさんが「クローン犬を飼っている」と明らかにした。
複数いる愛犬のうちコトン・ド・テュレアールの2匹が2017年に死んだ愛犬のクローンだといい、亡くなる前に口腔粘膜や胃の体細胞を採取しておいてもらったそうだ。
彼女のその告白により、英・米・韓国では愛する犬や猫のクローン化を検討、あるいは依頼する者が一気に増えたともいわれている。
■依頼者は若者が多い
このたびブリティッシュショートヘアのクローン猫を依頼した男性は23歳。SINOGENE社のCEOは顧客の傾向についてこう述べている。
「皆さん、決して高齢者や高額所得者ばかりではありません」
「顧客の多くが大学を卒業して間もない若者たちです。ペットの死をどうしても乗り越えられないと言うのです」
「今、中国の人たちはペットに大金を費やし、彼らを家族同様に愛していますから、クローン・ビジネスもますます盛んになるでしょう」
そして、クローン猫誕生の喜びに特に沸いているのが中国の科学者たちだそうだ。「猫が可能なら同じネコ科のパンダも」という発想から、猫をクローン化する技術には長きにわたり高い関心を寄せてきていたという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)