ツルならぬ「カラスの恩返し」 女性宅の窓辺に贈り物が届く
嫌われがちなカラスだが、じつはヒトの義理人情に似た「心」も備えていたようだ。
■「私はカラスと仲良し」と女性
米国サンフランシスコの中でも、特に美しい景観で人気のマリーナ地区。そこのあるアパートに暮らす1人の女性は今、「カラスと仲良しなんです」と嬉しそうに話している。
プログラマーの仕事を定年退職して以来、女性にとってカラスたちの存在は日々のちょっとした楽しみになっているとのこと。鳥の鳴き声の真似も上手で、そもそも鳥という生き物が好きだったようだ。とはいえ、いわゆる「変わり者」といった雰囲気は彼女にはまるでない。
■義理堅いカラスたち
3年前、女性はバルコニーにとまっていたカラスに餌を与えた。それがきっかけで、たびたび飛んでくるようになったカラスたち。いつしか彼らが家族、親子であることも突き止めたという。
そしてカラスが心を持っているという嬉しい発見もあった。女性は、バルコニーにある火災避難装置の板のうえに丸い粒状の鳥の餌をそっと置いておくが、するとカラスから「お返しの品」が届くそうだ。
■「その気持ちが嬉しい」と女性
餌をもらったカラスは、爪やくちばしにあれこれとはさんで再び飛んできては、それを置いて去っていく。シャンパンボトルのキャップ、グミ、カラフルで美しい石、骨、ナッツ、古い電子部品など、巣作りとは関係のないこまごまとした物ばかりだ。
どれも価値はないが、女性は「餌へのお礼ということなのでしょう。その気持ちがとても嬉しいです」と話し、カラスからの贈り物は棚にきれいに並べて飾られている。
■カラスとヒトの家族はそっくり
動物専門サイト『The Dodo』とのインタビューで、女性はカラスたちが2つの家族に分かれていることを悟ったとして、こんなことを話している。
「挙動をよく観察するうちに、カラスの家族が人間の家族とそう変わらないことに気づきました」
「オスとメスが長期的な関係を大切にし、核家族となって1羽か2羽の子を育てているようなのです」
「両親は子に積極的に物事を教え込んでいるように見えます。どこに餌があり、どんな風にゲットすればよいのか、などを親から教わっているようです」
やはり、カラスの知能の高さは親の教育によるものなのだろう。「カーカー」以外にもなかなか複雑な鳴き声を聞かせるカラスたち。その種類ごとに目的が異なると説く専門家も多い。
・合わせて読みたい→松岡昌宏、後輩リチャードを厳しく指導 「アジが掴めなきゃ夢も掴めない」
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)