17歳少年が失明の危機 長年の好き嫌いが原因か
先進国の少年少女において、これまでは「滅多に起きないこと」と言われてきたという。
まだ成長期なのに、その少年はなぜか視力が低下して耳も聞こえなくなってきた。医師はその原因を突き止められず首をひねるばかり。しかし、体格上何も問題がなさそうに見えたこの少年の身体の中では…。
■体格には現れない真の栄養事情
このほど米国内科学会の学術誌『アナルズ・オブ・インターナル・メディシン』に、英国の「ブリストル眼科病院(Bristol Eye Hospital)」がある少年の患者について症例を報告し、波紋を広げている。
少年は14歳で強い疲労感のため医療機関を受診したが、体格も悪くないことから治療はビタミンB12の投与で済んでしまった。そして15歳になると聴力および視力の低下を訴えたが、医師はまたしてもその原因を突き止められなかった。
■長年の偏食がたたり…
そして17歳になると少年は視力をほぼ失い、現在はブリストル眼科病院でその回復に向けた懸命な治療が行われている。内科的な病気は確認されていないものの、各種の検査によりビタミン、ミネラル不足が顕著である以外に、骨密度にも問題があることがわかった。
少年の身体に起きた各種の変調。その原因は、じつは長年の偏食にあったと考えられている。幼い頃から好き嫌いが激しく、少年は小学生の時からスナック菓子、フライドポテト、白いパン、ハム、ソーセージ以外のものを摂取しない生活を送っていたと告白したという。
■「栄養欠乏性視神経症」とは
この少年の視力喪失に下された病名は、常軌を逸した偏食者や栄養失調の状態で起きる「栄養欠乏性視神経症」というものだった。日本眼科学会は、公式サイトでそのあたりを以下のように説明している。
「網膜にある視神経は、眼球(網膜)に集まる外界から光の情報を脳に伝える、電線のような役割を果たす神経線維。この電線になんらかのトラブルが起きたものを視神経症と呼ぶ」
「ビタミンB群など栄養素の欠乏による『栄養欠乏性視神経症』は、最近の日本ではほとんど見られなくなった」
そしてブリストル眼科病院は今、このたびの少年の症例を理由に「原因不明と思われる視神経症に対しては、体格がたとえ良くても食生活の乱れや偏食を疑うことが必要だろう」とまとめている。先進国から消えた病気、などと安心していてはならないようだ。
■17歳にして体はボロボロ
10代にして体がボロボロになる寸前だったこの少年。この患者の症例は、日ごろのきちんとした食生活がヒトの健康維持のためにいかに大切かを物語っている。
すべての栄養素をバランスよく摂取できるよう、特に成長期の子供については親が努力してあげてほしいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)