犬の唾液から恐怖の細菌感染 女性が手の指6本と両脚を切断

動物由来感染症を予防するためにも、動物との過度のふれあいを避け、よく手洗いを!

2019/09/01 17:00

犬
(Nataba/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

犬を愛してやまない1人の女性の身に起きた大変な悲劇。犬や猫など動物を飼っていると、稀にはこんなことも起きてしまうという恐ろしい話題が海外から伝えられた。


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■最初はインフルエンザと勘違い

米国オクラホマ州在住で2018年10月、60歳になって間もない女性が突然の体調不良に見舞われた。

悪寒と高熱、全身倦怠感、頭痛などゆえにインフルエンザを疑ったが、血圧や血流が低下して足が思うように動かなくなり、慌てた夫が彼女をセント・アンソニー病院に連れていった。

その数日間の行動すべてを聞き取りした医師が、表情を変えたのは「飼い犬にごはんを与える際、咬まれました」という部分だった。医師はそこで動物由来の細菌感染を疑ったという。

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■傷そのものは浅かったが…

女性は犬に咬まれた傷口をよく水で洗い、念のため抗生物質の軟膏をつけていた。傷自体たいしたことはなく、皮膚科や外科などは受診していない。

そして行われた血液検査の結果、彼女はカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌性病原体に感染していることがわかった。

これは犬や猫の唾液に含まれているカプノサイトファーガの3種の細菌(カニモルサス・カニス・サイノデグミ)の一つで、飼っている犬や猫が健康であっても、咬まれたり引っ掻かれたりすれば感染・発症することがあるという。

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■手の指6本と両脚を切断

治療の甲斐なく、体調がどんどん悪化したその女性。皮膚には大きな水疱が出現し、手の指や脚は赤黒く変色し、命を助けることを最優先に考えた医師は、彼女に手の指6本の切断が必要であることを告げた。

さらにその2週間後、女性は両脚の切断をも余儀なくされた。現在は義肢を装着して歩行しているが、手の指が4本しか残されていないこともあり、日常生活のクオリティはかなり下がっているという。


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■患者のほとんどが中高年層

日本の厚生労働省は、公式サイトでカプノサイトファーガ感染症について以下のように説明している。

「感染しても発症は稀。しかし重症例では敗血症や髄膜炎に至ることがあり、前者の約26%、後者の約5%が死亡する」


「日本においては1993年から2017年末までに計93例が確認され、うち19例が死亡。発症者のほとんどが中高年齢者でカニモルサスへの感染。動物・人ともに予防ワクチンはない」


「国内では、カプノサイトファーガのうちカニモルサスの保菌率は国内のイヌの74~82%、ネコの57~64%。サイノデグミの保菌率はイヌの86~98%、ネコの84~86%と考えられている」


過度の心配は無用だというが、犬や猫に咬まれたり引っ搔かれたりしたら、まずは石けんと流水で傷口をよく洗い、体調不良などが起きたら必ず医療機関を受診し、その旨を説明するべきだとしている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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