ネットのパスワードが原因で姉を殺害 16歳少年に「終身刑」

重い罪を犯す少年少女たち。しかし家庭環境の大きな問題が背景にあるケースも多い…

2019/08/07 09:00

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(Tony Studio/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

身勝手な動機により姉を殺した1人の少年に対し、このほど「終身刑」が宣告された。未成年者をも終身刑に処することが増えてきた米国。矯正や教育により少年の反省や更生を促すことは難しいのかと物議を醸している。


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■「接続失敗」で始まった口論

その殺人事件は2018年2月、米国ジョージア州メーコンの民家で起きた。家庭内のWi-Fiインターネット接続が「接続失敗」と表示されるようになり、理由がわからない家族は困惑。じつは当時16歳の息子が無断でそのパスワードを変更していたのだ。

それを知った母親は息子と激しい口論を繰り広げ、そこに20歳の娘が加わり母親の味方をした。そんな姉に腹を立てた少年は、姉の首をしめて窒息死させ、逮捕・起訴された。

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■パスワードを変えた理由

少年が無断でWi-Fiのパスワードを変更した理由は、夢中になっていたオンラインゲーム。「安定したインターネット接続のため、自分ひとりで利用したい」という身勝手な気持ちからであった。

弟の将来を案じ、口を酸っぱくして弟にあれこれ苦言を呈した4歳年上の姉。だが少年は「皆がネットを使うと俺のゲームに支障が出る」と言って譲らず、首を絞められ窒息した姉は搬送先の病院で死亡した。

このほどその裁判が結審し、被告である弟には「仮釈放の可能性がある終身刑」が言い渡された。終身刑のなかでは軽いものだが、未成年者にこれを適用してよいものかと波紋を広げている。

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■終身刑を言い渡された米国の少年少女

米国ではこれまで、数百名の未成年者が仮釈放のチャンスを与えられない「絶対終身刑」を宣告され、すでに収監されている。

・公園にひとりでいた近所の4歳の男の子を森の中に連れ込み、岩に頭を叩きつけて殺害。性的に暴行した。学校では度の強いメガネと赤毛をいつもからかわれ、イジメられていた。動機については「その腹いせだった」と語っている。(1993年ニューヨーク州で 犯行当時12歳)


・母親がベビーシッターとして近所に暮らす当時6歳の女の子を預かった際、その体中を傷つけ、激しく踏みつけて体を押し潰す。本人は「プロレスごっこをしていた」と主張するも、それ以上の殺傷行為があったものとみなされた。(1999年フロリダ州で 犯行当時12歳)


・仲良しだった16歳少女3人組が「大麻を吸おう」と車で遠くに出かけ、2名が1名をナイフでめった刺しにした。犯行は計画的で1名がその後に警察に自白。長く無実を主張していた1人のみが終身刑に。(2012年ウェストバージニア州で 犯行当時16歳)


ただし米国では未成年者の人権擁護団体などを中心に、安易な「終身刑」宣告により、被告のその後の人生をまるごと奪ってしまうことの是非について問う声は多いようだ。


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■日本では「少年法の刑罰が軽すぎる」の声が多数

日本では逆に、少年院送致の下限年齢が「おおむね12歳以上」に引き下げられたものの、「少年法の刑罰そのものが軽すぎる」として度々議論されている。

しらべぇ編集部が全国20〜60代の男女1,537名を対象に調査したところ、全体の63.9%が「少年法の刑罰は軽すぎると思う」と回答した。

ただし、罪を犯す少年少女のほとんどが問題の多い家庭で育っており、親から暴力や性的虐待を受けていることも少なくない。大人にも大きな責任があるということを私たちは忘れてはならないのだろう。

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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2018年10月19日~2018年10月22日 
対象:全国20代~60代の男女1,537名(有効回答数)

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