子供の重大イベントを機に… 辛抱してきた仮面夫婦の糸が途切れる時とは
機能不全に陥ってもなお夫婦でいようとする両親。その理由は、やはり…?
子供のために我慢して一緒の暮らしを続ける、いわゆる仮面の夫婦はこの世に溢れている。
子供はそれを「迷惑だ」と言うかもしれないが、両親は「後でわかる。すべては大切なお前の未来のため」などと言う。我慢に我慢を重ねる理由は、やはりわが子の存在。お隣の中国の例を紹介したい。
■子育てのゴールインを待ち離婚
今、中国各地の役所には、熟年の一歩手前という年齢の男女が、離婚を申請するため多数訪れている。
毎年7月になると必ず報じられる、「中国で離婚件数が一気に上昇」というニュース。しかし、この時期に離婚すると税金ほかの面で何か得をするといったことではない。
長いこと辛抱してきた仮面の夫婦が、その忌々しい関係をやっと解消できるのが、このタイミングなのだという。
■国立大合格で「子育てが完了」
国立大学への進学こそが輝かしい人生のスタート、ごく一部の「人生のレッドカーペットを歩く人々」になるための必須条件だと考えられている中国。その受験&合否決定がやっと終わったそうだ。
難関大学の受験は非常に厳しいもので、精神的にへこたれそうになるわが子の目の前で、親が言い争い、別居したり離婚したりとトラブルを繰り広げるわけにいかないのだ。
難関大学の合格は親にとっても子育ての最大の目標、ゴールであるとして、結婚当初からどのカップルもそれだけは固く決意するという。
■「この時期は離婚ラッシュ」と役所
たとえば湖北省の襄陽(しあんやん)市の役所は、ここに来て毎月の平均件数より300件以上も多い離婚申請を受理したという。職員は上海のメディア『Shanghaiist』の取材にこう語っている。
「毎年そうなんですよ。この時期になると離婚件数がぐっと増えるんです」
「やっと親としての役目を果たした、このタイミングを待っていた、という感じでしょうか」
「たとえば今朝ここを訪れたカップルは、『2年以上にわたり、もう離婚することばかり考えていた』と言っていました」
「特に奥さんの決意が固いようです。『もう、我慢の限界だった』なんておっしゃいます」
両親の不仲は子供がグレてしまう原因のひとつである。それを恐れる両親が、無理に仲良しを装うことも多々であろう。子もそれを薄々わかっているだけに、長く頑張ってくれたことに対して感謝の念を抱く者も少なくないという。
■「子供のため我慢」への評価は
あくまでも「わが子のため」といって離婚を先に引き延ばしにする仮面夫婦。日本でも実際のところ、そんな夫婦は少なくない。
しらべぇ編集部は全国20~60代の男女1,342名に「離婚」について調査を実施した。その結果、48.9%が「子供がいる夫婦は離婚すべきではない」と回答している。
中国と比較すると、日本の仮面夫婦は「子供の結婚後」、あるいは「夫の定年退職後」などと我慢もかなりの長期戦という印象だ。
・合わせて読みたい→出生数90万台割れの発表が波紋 「令和婚で先延ばし」は本当なのか
(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ
対象:全国20代〜60代の男女1,342名