「容疑者宅にテレビとゲーム機」 川崎無差別殺傷事件めぐる報道の問題点とは
川崎市登戸で発生した無差別殺傷事件。容疑者宅に「テレビとゲーム機」があったという報道に、ネット上では疑問の声が相次いでいる。
2019/05/31 14:30
19名の死傷者を出し、日本中を深い哀しみに包んだ川崎無差別殺傷事件。事件から数日が経ち、自害した容疑者の男の素性が少しずつ浮き彫りになっている中、大手メディアによる一部報道が、物議を醸している。
■なぜテレビとゲーム機だけをチョイス?
30日、複数のメディアが速報扱いで「男の部屋からテレビやゲーム機が発見された」と報道。ゲーム機に関しては複数種類、存在していたことも明かされ、テレビにつないで遊ぶタイプや、ポータブルタイプがあったという。
報道において、「なにを伝え、なにを伝えないか」は重要だ。だからこそ同じ題材を扱っても、新聞社、メディアごとに報道内容に差が生まれるし、また「そもそも伝えない」という選択をするメディアもある。
テレビが部屋にあるのはきわめて一般的なのに加えて、ゲーム機の普及率も低くない。なぜここにフォーカスした報道が行われたのか、疑問が残る。
■報道の内容に批判集まる
こうした報道に対し、ツイッター上では批判的な意見が相次いだ。
「テレビとゲーム機があると犯罪者予備軍なのか?」
「今回の凶行は絶対に許されない。ただ自宅にテレビやゲーム機があって何か問題があるのか。偏見を助長することにもつながりかねない、こうしたマスコミ報道はいかがなものか」
「部屋にテレビとゲーム機のニュース。本当に怖いなあと思う。当局から渡された情報であれば中身はどうでもよくて、当局発表だからというその一点だけで、吟味もせず、しかも急いで報道しちゃう姿勢。餌を差し出せば、それが何かを確認もせずに飛びついて食べる虫のようだ」
「テレビとゲーム機があったら犯罪者予備軍……テレビでそれを言うかね。じゃあ、この報道は犯罪者予備軍向けなの?」
仮に容疑者の家にゲーム機があったとしても、憶測や先入観で関連付けるかのような報道は、非常に危険と言わざるを得ず、また事件の論点を逸らしてしまう可能性すらあるだろう。