川崎殺傷事件、現場に「献花台が設置されない理由」 祈りを尊重する区の対応
小学生の女児を含む2人が犠牲となった、川崎市の無差別刺殺事件。事件現場に「献花台を設置していない理由」と、現場を管理する担当者の思い
今月28日、神奈川県川崎市の小田急線登戸駅近くで、スクールバスを待っていた小学生ら18人が刺身包丁を持った男に次々と襲われ、小学6年生の女児と保護者の男性が亡くなった。
事件現場には多くの人々が献花に訪れているが、そこには「献花台」が設置されていない。花やジュース、お菓子などが路上に手向けられている事情について、川崎市多摩区に話を聞いた。
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■道路法により設置できない
川崎市多摩区役所道路公園センター管理課の担当者は、「事件現場は道路法上の関係で、現状献花台を設置することができていない」と説明。
犠牲者を悼む多くの人々が献花に訪れている現状を受け、区の職員が1日数回現場へ行き、隣接する建物のネットフェンスが倒れないよう、とくに注視しているほか、通行の妨げにならないよう供物の整理などの対応をしているという。
取材に応じた担当者も、同日3回ほど現場を訪れたそうだ。
■ネットでは懸念の声もあったが…
通学途中だった小学6年生の女児を悼み、現場にはお菓子やジュースなども供えられている。
インターネット上では、現場近くのコンビニエンスストアで購入されたと思しき食品が路肩に供えられていたことに、「誰が片付けるの?」「迷惑なのでは」などと懸念の声も多く上がっていた。
こうした供物の対応について担当者に尋ねたところ、「大きいものやなまものについてはできるだけ早く回収し、処分や保管などについてはご遺族やカリタス学園に確認している」という。
しらべぇ取材班が現場を訪れた際にも、供物を仕分けする関係者の姿が見られた。
■祈りと悼む気持ちを大切にしたい
担当者は、「今日も本当に多くの方が献花にいらしていました」と話し、献花台は設置できずとも、今後もしばらくは区として現場の管理をしていく方針だという。
供物について様々な意見があげられているが、取材に応じた担当者は「犠牲者や献花に訪れた人々の思いや祈りの場を大切にしたい」と話していた。
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(文/しらべぇ編集部・越野 真由香)