東京メトロ「声の人」森谷真弓 メディアに出なかったワケと「吹っ切れたきっかけ」とは
「東京メトロ」の声の人…フリーアナウンサーの森谷真弓さん。今までメディアに出ることのなかった彼女が自身のこと、仕事について語る
■有楽町線に聞きに行って「反省」
大量の原稿を読み上げることだけではなく、声の出し方や話し方に指示がなかったことも、大変だったことのひとつだという。「本人に任せる」というのは信頼されているということであり、自分らしくできるようにも感じるが、森谷さん自身は不安を感じていたそうだ。
森谷:収録では「もっとこうして」「こういう声の出し方で」と、細かい指示があると思っていましたし、指示してくださったほうがやりやすい部分もあるんです。
でも、何も言われなかったので「これで大丈夫? いいの?」って不安はありました。「乗車している人が心地よく乗ってもらえるように」という一心で自分が感じたイメージで収録していました。ただ、実際に車内アナウンスが始まるまで緊張していましたね。
最初に収録したのは東西線でしたが、完成して自分で聞きに行ったのは、自宅の最寄り駅だった有楽町線でしたけど…「もっとこうしなきゃ」とか、もう反省ばかりでした。
■鉄道・路線によって「声が違う」
しかし、アナウンスが流れはじめた当初から、森谷さんの声に「癒される」「かわいくて落ち着いた声」などの反響が寄せられ、ネット上では「声の主は誰だ」と話題になった。また、鉄道会社、路線別で声を録音し、動画サイトでアップするほどのファンもいるようだ。
声の変化に敏感なファンの中には、「この線は明るい声」「この時は落ち着いたトーン」などの分析をする人まで。この「声の違い」は人間味を感じる部分でもあるが、じつは路線によって変えているという。
森谷:アナウンスを聞いて「話しかけられているみたいで、頑張ろうっていう気持ちになります」という言葉を頂いたときはすごく嬉しかったです。路線によって違う声の変化に気付いてくださる方は「すごいなぁ~」と感心します。
声の出し方や雰囲気に正解があるものではないですし「統一したほうがいいのかな」との気持ちもありつつ、街の雰囲気や、自分が感じた駅や沿線のイメージを大切に、アナウンスするようにしています。
たとえば、私にとって「ゆりかもめ」は「綺麗で洗練された、みんなが遊びに行く場所」というイメージ。「みなさま、どうぞ楽しんで行ってらっしゃいませ!」っていう雰囲気を出したいと思って収録しました。
「東京メトロ」では2008年に開業された、副都心線も「スタイリッシュな雰囲気」を心がけて収録しました。