30年連れ添い死んだ妻は誰だったのか 女性が隠し通した「秘密」に涙
福岡県大野城市のアパートに内縁の妻の遺体を遺棄した男。30年以上連れ添った妻は、無戸籍だったことが判明。
配偶者の名前が本当のものなのか、誕生日は正しいものなのか、そうした疑いをもったことがある人は、かなり限られるのではないだろうか。
福岡県内で、30年連れ添った妻が無戸籍だったことが判明するという事件が発生。露呈したきっかけは、妻の死亡だった。
■「ユミコ」と名乗った妻
2017年10月からおよそ1年間にわたって、同県大野城市のアパートに、内縁の妻の遺体を遺棄したとして起訴されている奥田義久被告(74)は、17日の初公判で起訴内容を認めたという。
被告は、33年前に北九州市のキャバレーで「ユミコ」という女性に出会い、その後駆け落ち。「奥田ユミコ」は、食品加工会社などで働いていたが、2016年ごろ、女性は仕事を辞め、被告の年金で暮らすこととなった。
2017年になると、女性の目が少しずつ見えなくなり衰弱していき、介護が必要な状態になったそうだ。その後、女性は死亡し、被告は部屋に遺体を遺棄。警察の調べで、女性が「無戸籍」であることが判明したとのことだ。
■「何もしてやれなくてごめんね」
これまでの30年間で、女性に不可解な点はあったものの、被告はあえて詮索しなかったという。衰弱していく女性を病院に連れて行くため、「昔の住所を言ってくれれば身分証作ってくる」と何度も説得を試みた被告。だが、頑なに拒まれるだけだった。
死の間際、弱っていく女性に野菜ジュースを飲ませると、「ああ、おいしい」とつぶやいたといい、それが最後の言葉となった。裁判官から、「ユミコさんに言いたいことはありますか」と問われた被告は、「何もしてやれなくてごめんね」と答えたそうだ。
裁判は即日結審し、検察は懲役1年を求刑。一方、弁護人は、執行猶予を求めているとのこと。