問題だらけの水道民営化 パリやイギリスではすでに失敗した政策がなぜ進められるのか
海外では失敗に終わっている水道の民営化。強行に進める安倍政権に対して、野党は一斉に反発している。
■値上げや格差が拡がるリスク
筆者は、「パリは1995年に水道の民営化をして、2001年に130年ぶりに左翼市政になり2010年に水道を再公営化したが、民営化したことによって水道代が2.6倍に上がった。水道の民営化の問題点を指摘していただきたい」と質問した。玉木氏は次のように答えた。
「水道法に関して言えば、そもそも目的が、かつて埋めた水道管などのリプレイス、補修などに多額の金がかかると。財政が厳しいから民営化を導入してやっていくんだ、ということであります。
ただ、民間はあくまで商売なので、補修するということが膨大であれば、そのための水道料金を上げざるを得ないし、上げないと補修のためのある意味での費用も賄えないわけですから、やはり水道料金が上がる。
あるいは、地域によって水道料金の格差が非常について、結果として生存権というか、そういったものに地域ごとの格差が生じるというようなことも懸念としては考えられると思っています」
■共産党「水道は人権」
日本共産党の倉林明子・参議院議員(京都選出)は4日、参院厚生労働委員会で、水道民営化を推進する水道法改定案をめぐって、民営化から再公営化が急速に進む世界の流れを明らかにし、コンセッション方式の撤回を求めた。
厚生労働省の報告書では1992〜2007年で民営化後に再公営化した水道事業は全体の4分の1に達しているにもかかわらず「官民連携が単純に失敗と判断を下すことはできない」と結論づけている。
倉林氏は、2000年から15年で37カ国、235事業が再公営化しているという調査を挙げ、「世界では再公営化の流れは加速度的に増している」と指摘。
厚労省の報告書で紹介されたインドネシアの首都ジャカルタでは、高い料金や施設整備の遅れを理由に市民が提訴し、2017年に最高裁の判決で民間水道事業者が敗訴し再公営化へ進んでいることを示し、「事実を隠したまま民営化を進めるのはあまりに無責任だ」と批判した。
倉林氏は「最近の再公営化から得られる教訓は『水は人権、自治が基本』ということだ」と強調している。
世界で水道の民営化が破綻しているケースがあまたあるのに、一周回遅れで水道民営化に突き進む安倍政権。12月10日の臨時国会・閉会前に法案を成立させる見通しだ。
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(取材・文/France10・及川健二)