自民党にすり寄る小池百合子都知事 「東京大改革」の初心は忘れられたのか
就任から2年が経過した小池百合子都知事。都民ファーストの会を率いて「東京大改革」をうたったが、その実態はどこまで進んでいるのか。
■実現した公約は…
さて、これらの公約のうち、どれが実現したか。まず、冒頭解散。威勢はいいが都知事には不信任案を受けたときでなければ、解散権はなく絵に描いた餅で、実際に実行できなかった。
次に利権追求チーム。五輪では、「ブラックボックス」と批判した組織委員会や会長の森喜朗元首相ともベッタリ仲良くやっているのが実態だ。利権など追究していない。
最後に都知事辞職。これはどだい無理な話だ。現職の知事が自発的に辞任して再選した場合、残される任期は変わらない。だから、都知事選を辞任して前倒ししたところで、小池知事が再選すれば、オリンピックのさなかに、また、都知事選が行われるのだ。
小池知事の「東京大改革」と銘打った柱の公約は何一つ守られていない。もちろん、知事選・都議選で公約した「築地は守る」も投げだし、「築地は守る。豊洲は生かす」と意味不明な言動に転向。
しかし築地市場は解体され、豊洲はわずか1ヶ月で悪臭立ちこめる空間になり、悲鳴が上がっている。築地も守れず豊洲は生かされない。最悪の結果になっているのが現状だ。
■「徹底した情報公開」から「情報隠蔽」に変遷
小池百合子・都知事は10月12日、定例会見を行い、筆者は久しぶりに会見に出た。「築地を守る」と公約に掲げた小池知事の豊洲市場・開場初の会見となり、注目が集まった。
何人もの記者が「豊洲市場への移転は、小池知事の選挙公約違反ではないか?」と問い質そうとして、挙手をした。筆者もその一人だ。しかし、小池知事は一顧だにせず、ふだんから指名している「お気に入り記者」のみ指名して、会見を終了した。
小池知事会見の閉鎖性を、『都政新報』は次のように書いている。
「このところ知事は定例会見でなじみの記者を指名することが目に見えて多くなり、その傾向はいささか度を越しているようにも見受けられる。この日も案の定、知事は常連記者たちからの質問に答えてそそくさと会見場を後にした。
こうした知事の態度は、まるで外部からの批判を恐れて逃げ回っているようにも映る。加点・得点よりも減点・失点をしないよう細心の注意を払って世渡りをするどこかの役人のようだ。
一方、記者からは『どうせ知事からは当ててもらえない』『質問をしても事務方が用意した原稿を読むだけ』といった失望の声も聞こえてくる」
会見で、お気に入り記者しか指名しない、事前に用意した官僚の原稿を読む。都知事選の時に「情報公開が改革の1丁目1番地」と言っていた小池知事の姿は、そこにはなかった。