女のズルさや欲望の生々しさ 『恋のツキ』徳永えりが演じ切るリアル

主演・徳永えりが感じている等身大の平ワコとは…

■純粋って罪

徳永えり

30代のワコが10代の高校生とつき合う――ある意味「常識的なことから、踏み外してしまう」部分は、徳永自身にもあるのか聞いてみると。

「さすがに年齢的なものや、世間的に犯罪まで行ってしまうことは、私だったら踏み止まれるんですけど、でもワコさんの気持ちはわかるんです。32歳の彼女が、女としての価値だったり、ときめける存在がいたりっていうのがあると、ふっと加速してしまって周りが全部見えなくなってしまう気持ちは、わからないでもないんですよ。だから『純粋って罪だな』って、思いますよね。(笑)

伊古くんとのことをすごく引いて見たら、『淫行だ』と捉える人もいれば、『ものすごく純粋だ』と捉えてくれる方もいる。でも人の感覚って人それぞれだし、どちらでも“ワコさんの人生をこの方はそう見るんだな”って。そこがこの作品のいいところだなと、私は思うんです」


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■3人の男たち

これまでも回想シーンで登場し、終盤に再びワコの前に現れる元カレ・土屋情(安藤政信)が、改めてどんな人物なのかも気になるが、別れたばかりのふうくん、そして今彼・伊古くん。この3人のキャラクターが、あまりにも違いすぎる。

一人の女性の恋愛遍歴として、かなり不思議だが、ワコの中では3人に何らかの共通項を感じている?

「共通項…それは考えたことなかったです。(笑)時系列で言うと土屋さんが最初で、当時ワコはいつも2番目の女だったって言うんですけど、よく考えたら『ワコさん割に、いい位置にいない?(笑)』って思うくらい、土屋さんはモテモテで魅力的です。

単純に体の関係で『感覚的に一番忘れられなかった人』ってセリフにもあるのですが、この作品でワコさんが伊古くんに走ってしまったり、関係を持ってしまったりって、体と体の繋がりで何を覚えているかって、脳とか皮膚感覚とか、どこか麻薬みたいな、触れたいって思いは体が覚えているっていうのが、絶対あると思うんです。それが一番、色濃く出ているのが土屋さんですね。

元々自己肯定感の低いワコさんが土屋さんとダメになって、やっぱり『自分はいつも一番に選ばれないな』って低いところにいたのを掬い上げてくれたのが、ふうくん。そのふうくんも慣れっていうのに負けて、ああいう形になる中で、伊古くんは『なんて好みの顔面』って好みのルックスで、性的なものよりも、心がときめく。

共通点で言えば、みんなワコさんを掬い上げてくれた――ただその掬い上げ方が、みんな形が違うというか、種類が違う感じだと思うんですよね。土屋さんだったら体であり、ふうくんは自分が低いところにいた自己肯定を上げてくれた。伊古くんは心の拠りどころというか、女としてのときめきを取り戻してくれたところ。そこが共通項なのかもしれません」


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■最後まで嘘のないワコ

物語はいよいよ終盤。今後、ワコはどうなっていくのか? そして作品のファンに、どう観てもらいたいと考えているのか?

「彼女が本当に漂っていて、でもふうくんと決着をつけて、でも伊古くんとつき合ったから、ゴールじゃないんですよね。これから起きる展開の中で、『私の幸せはなんだろうな』ってすごく考え出す――そういう面では本当に、ハッピーエンドって、なんなんだろう? って考えさせられる展開になると思います。

きっといろんなことがあるので、それを本当にただただ見届けていただけたら、嬉しいなって。彼女が自分の幸せを考えた末に出した答えを、みなさんが思うことはたくさんあると思うんですけど、彼女なりに考えた結果を見ていただければ…。

ワコさんは物理的に『今日はちょっと』とか、小さな嘘はついてますけど、自分の心に対しての嘘はなくて、全部自分の気持ちに従順に、欲望のままに行ってしまう。本当のところ、それは罪ではあるんですけど、最後の最後まで彼女に嘘はないんです。それも観てくださる方が、どう感じてくださるのか――すごく楽しみです。いろんな人に感想が聞きたい。こんなに聞きたいと思う作品は、ないですね」


伊古くんとの恋や、再び現れる土屋など、ワコを取り巻く環境はどうなっていくのか――ラストへ向けて動き出す『恋のツキ』に注目だ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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