社員を罵倒して追い込み、辞めると「精神疾患扱い」のブラック企業 弁護士が一刀両断
エピソードを投稿した本人も鬱病になり、「お前は発達障害だ」と言われたという。
■弁護士の見解は…
結果的には転職先で仕事に恵まれたカボチャさんだが、この企業にはどのような問題があったのだろうか。鎧橋総合法律事務所の南谷泰史弁護士に聞いたところ…
南谷弁護士:この会社には、多くの労働関係法令の違反が認められます。まず、求人での労働条件が実態と異なっていた点について、その求人がハローワークや職業紹介事業者を通じての求人だった場合、求人時の労働条件の明示義務(職業安定法5条の3第2項)に違反し、ウソの求人を行った者には6ヶ月以上の懲役又は30万円以下の罰金が科され得ます(同法65条9号)。
また、入社時にも実態と異なる労働条件が提示されていた場合には、実態に関係なく、提示されたとおりの内容の労働契約が成立しているとして給与の差額を請求できる可能性があります。
さらに、そのような場合、2週間以上前の事前通知をせずに、すぐに退職することができます(労基法15条2項)。
休日の扱いや早朝の掃除も問題だという。
南谷弁護士:労基法35条により会社は従業員に原則週1日以上の休日を与えなくてはならないことになっていますので、休日がないことは同条に違反します。残業代が払われないことについては、労基法37条違反です。
終業時刻後の残業だけでなく、「朝の早すぎる掃除」の時間も、強制的なものであれば、残業として残業代を請求できます。
■「精神疾患扱い」には損害賠償も
また、あまりにもひどい「社員を精神疾患扱いする発言」には、パワハラの可能性が高いと指摘する。
南谷弁護士:これらにも増して、カボチャさんが一番苦しんだのは、役員によるパワーハラスメントやセクシャルハラスメントのようです。カボチャさんが受けていた罵倒の内容はわかりませんが、「精神疾患扱い」等をしていたことを踏まえると、業務の適正な範囲を超えていたと考えられます。
そのため、パワーハラスメントに該当し、役員や会社に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求することができるでしょう。
カボチャさんが、退職後にしっかりした会社に転職できたことは何よりです。ブラック企業に入社してしまった場合には、早期に退職した上で、残業代請求や損害賠償請求を行って、適切な補償を得るとともに、会社に制裁を与えることが、ブラック企業をなくしていく上で重要だと思います。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク)