生活保護受給者が自殺して「良かったじゃん」 『ケンカツ』初回から社会派すぎる
吉岡里帆が新米ケースワーカーを演じる『ケンカツ』。社会を切り取るセリフに注目。
2018/07/18 12:30
■受給者が自殺 「良かったじゃん」と言う先輩
その後、えみるは先輩の京極大輝(田中圭)から、平川が飛び降り自殺したことを告げられる。大きなショックを受けるえみるだが、それに対して先輩の女性職員が…
「平川さんの、月13万円の生活保護費は国民の税金から出てたんだから。それが減ったわけだし。それに、自分が抱えてる1ケース減って良かったじゃん。それぐらいで考えないと」
と発言。それに対し、えみるは言葉が出なかった。
こうして配属早々、厳しい現実を突きつけられたえみる。自分なりに受給者たちの人生に寄り添っていかなければならないと決意するのだった。
■ネットでもさまざまな声
この破壊力抜群のセリフに対し、ツイッター上でも多くの反響が。
#健康で文化的な最低限度の生活
担当ケースの自死で呆然とする主人公が先輩から「1ケース減って良かった」と励まされ、一度は納得しかけるものの「それを言ったら大切なものを失ってしまう」と思い直すシーン。「いのち」が見えなくなってしまうこと。
これが生活保護行政の問題点だと思う。— サナギ (@sanagi3r4) July 17, 2018
さっきの「他の生活保護の方にお金が回せるし、ケースが減って良かった」みたいなセリフは、やっぱり凄い。言葉の威力が凄い。
心の片隅にあるような言葉をむき出しにして、出演者に言わせるのが凄いというか、なんだか怖いと思ってしまった。
セリフがずしんと響く。#健康で文化的な最低限度の生活— なな (@fishstory73) July 17, 2018
大抵の生活保護ケースワーカーは別に担当の受給者が死んでも感情移入することはないしそうであるべきだと思っている。仕事が減って良かったと思うくらい激務で心は廃れていく。毎日遅くまで働き、土日も出てくることもしばしばで、ケースワーカー自身が健康で文化的な最低限度の生活を送れない。
— 叫びさん (@sakebisan) July 17, 2018
現代を丸ごと写しててメッセージ性があるドラマだとふと思った。
生活保護とは健康で文化的な最低限度の生活を維持する事らしい。
抱えてる人数が減っただけでも良かった的な台詞に日本の闇を感じた。#健康で文化的な最低限度の生活— ディーン・フクヤマ (@masuyou1005) July 17, 2018
作品のタイトルにもなっている「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのは、すべての国民に保証された権利だ。
だが、生産年齢人口の割合が減少している中、生活保護受給者への風当たりは厳しく、ネット上でこの職員のような発言をする人を見かけることは決して少なくない。
また、えみるが新人でありながら100を超える担当を任されたように、ケースワーカー自身も激務で、健康な生活を営めないことも多いのだろう。
複雑に絡み合うさまざまな事情を考えるほど、表面的な過激さとは裏腹に、簡単に良し悪しを判断できるセリフではないのかも…と思えてくる。
その後、えみるは求職活動中の受給者・阿久沢正男(遠藤憲一)と出会うことに。今後、ストーリーにも大きく絡んでくるようだ。
今の日本の現実を切り取った本作から今後も目が離せない。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)