目黒5歳児虐待死事件はなぜ「殺人罪」でなく「保護責任者遺棄致死」? 弁護士が疑問に答える

傷害と保護責任者遺棄致死の併合罪で最長30年以下の懲役とのことだが…

■予想される量刑は?

今後、裁判を通して明らかになる情報もあるはずだが、現段階において裁判所が判断すると予想される量刑は、どれくらいなのだろうか。

高橋弁護士:日本における殺人事件の場合、量刑の多くは15年~10年程になることが多いのですが、本件のような保護責任者遺棄致死罪で、子供を虐待死させている場合には、量刑は13年~8年くらいとみることができます。


本件の場合には、連日の報道でかなりひどい状況だということが分かりますので、懲役10年を超える可能性があると考えられます。


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■虐待死は殺人事件ではないのか?

それでも、最大の疑問は「なぜ殺人罪ではないのか?」「法律は、親が子供を殺す犯罪を軽く見ているのではないか?」ということだろう。それについても法的な見解を聞いてみたところ…

高橋弁護士:虐待死事件は、多くの場合には殺人事件ではなく保護責任者遺棄致死罪となるため、そのような気持ちになる方もいると思います。


私も実際にこうした事件の報道を見ると、他に頼ることもできず、この親の元に生まれてきてしまったという不運のうちに、命を終えてしまう子供がいると思うと、その親の無責任に対して強い憤りを感じます。


保護責任者遺棄致死罪は、例えば、薬物を飲んだ人が苦しみだしたのを、一緒に薬物を使っていた人が、「救急車を呼んだら自分も薬物の使用で捕まってしまう」と思って、そのまま逃げてしまい死なせてしまった…というような場合にも成立する罪です。


そうした意味では、「子供の虐待死についてはこれと分けて重く処罰する」など何らかの法整備が必要かもしれません。


司法や行政だけでなく、立法府がこうした問題に真剣に向き合うことが求められるだろう。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/レイ法律事務所高橋知典弁護士

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