目黒5歳児虐待死事件はなぜ「殺人罪」でなく「保護責任者遺棄致死」? 弁護士が疑問に答える
傷害と保護責任者遺棄致死の併合罪で最長30年以下の懲役とのことだが…
東京・目黒区で起きた両親による船戸結愛ちゃん(5)の虐待死事件。東京地検は27日、保護責任者遺棄致死の罪で、父親の無職雄大容疑者(33)と母親の無職優里容疑者(26)を起訴した。
この事件では、結愛ちゃん自身がひらがなで「もうおねがい ゆるしてください」などと書かれたノートが発見されたことや、児童相談所や病院に「パパにやられた」「パパ、ママ、いらん」「前のパパがいい」などと話していたことも波紋を拡げた。
■「殺人罪でない」に批判の声
無力な幼児に対する、血のつながっていない父と実の母による凶行。にもかかわらず、「殺人罪」ではなく「保護責任者遺棄致死罪」での起訴であることに対しては、批判の声も目立つ。
いちばんおかしいのは、仮に親が成人した子供を死に至らしめたら殺人罪で、未成年で保護の状態にある子供を死に至らしめたら保護責任者遺棄致死。
逃げ場のない未成年の子供を死に至らしめる方がより残酷で罪が重いのが当たり前だと思うのですが、そんな簡単なことがなぜ分からないんだろう?— エース (@ace_second122) June 29, 2018
目黒区の、幼女虐待死だけど、保護者責任遺棄致死ってことで起訴らしきけど、
明らかに虐待死で、どう聞いても死ぬのわかっててやったんだから、計画的殺人だと思う。これ他人が被害者だったら、死刑か無期懲役がまず求刑になるよ。柔らかな罪状名で、事件をぼかすから、虐待死が減らない気がするよ。— おれんちぶたじる STAY HOME (@koganeikintaro) June 27, 2018
上川法務大臣様、これまで沢山の子供が虐待で命を奪われてきました。なぜか虐待で子供を殺しても殺人罪には問えないんですか❔。一体あと何人の子供の命が奪われたら、より罪の重い殺人罪に問えるんですか❔。保護責任者遺棄致死罪ではあまりにも罪が軽すぎませんか❔。私は厳罰化が必要だと思います。
— さくら542号 (@X1NrslTu5W7GZdN) June 29, 2018
■量刑について弁護士の見解は?
今回の起訴内容とそれに対する批判の声について、しらべぇ取材班はレイ法律事務所の高橋知典弁護士に話を聞いた。
高橋弁護士:保護責任者遺棄致死罪は、刑法219条にて「傷害致死と比べて重い刑で処断する」とされています。このために、傷害致死罪の場合と同じく、刑は「3年以上20年以下の懲役」となります。 本件では、さらに、傷害罪も起訴されています。
この傷害罪は、全くの別件としての傷害罪ですから、保護責任者遺棄致死罪と傷害罪は併合罪に当たり、本件では結果的に最長30年以下の懲役ということになります。