まるで「DASH島」!? 新人研修は「スマホ没収で島流し」というブラック企業の恐怖

研修はその会社のブラックぶりに気づくきっかけにも。

■弁護士の見解は…

南谷泰史弁護士

まさに「軍隊」のような研修とタイムカードもない職場。法的な問題はどこにあるのだろうか。鎧橋総合法律事務所の南谷泰史弁護士に聞いてみた。

南谷弁護士:本ケースの新人研修が研修として有益なのかについては、個人的には非常に疑問です。しかし、会社には従業員に対する業務命令権限があり、どのような研修を行うかも会社の経営判断の対象であるため、このエピソードの記載内容のみから、この研修が違法だと断定することは難しいでしょう。


ただし、研修時間が1日8時間を超えている場合は、労基法32条違反の問題や残業代未払いの問題が生じます。また、負荷がさらに大きい研修があり、研修内容が社会的に適正な範囲を超えて過酷な精神的・肉体的苦痛を与える程度にまで達している場合には、不法行為が成立し、損害賠償の対象となると考えられます。


また、おかしな研修はブラック企業を見抜くきっかけになるともいう。

南谷弁護士:さらに、この研修は違法ではないとしても、このような合理性に大きな疑いがある盲目的・高圧的な研修が行われていることは、ブラック企業の兆候と言っていいと思います。


その場合、多数の法令違反が存在するブラック企業ではないか、その会社で勤務を続けて大丈夫なのか、冷静に考えるように注意したほうがいいでしょう。


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■ブラック企業からは「逃げる」

社員を壊してしまうほどモラルが低い会社が、実際に体調を崩した社員のケアをしてくれるとは考えにくいと、南谷弁護士は警鐘を鳴らす。

南谷弁護士:実際、本ケースでも、半月の残業時間が100時間を超えており、しかもタイムカード等もなく、残業代も支払われないなど、労基法32条や37条の違反が認められます。しかも、この残業時間はいわゆる過労死ラインをはるかに超えており、心身の健康を害するリスクがあるレベルです。


この会社での勤務を続けて健康を害すれば、一生、そのダメージを引きずる結果になったかもしれません。その場合、この会社が面倒を見てくれることはないでしょう。ゆめたんさんがこの会社を早期に退職したのは、賢明な判断であったと思います。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク

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