誤算が真海の狂気のギアを加速させる…『モンテ・クリスト伯』最終章

モンテ・クリスト伯真海が仕掛ける「華麗なる復讐」の結末へ向け、担当プロデューサーが徹底解説

■ナチュラルボーンヤバい人・瑛理奈

(画像提供:(C)フジテレビ『モンテ・クリスト伯』

真海がターゲットたちへ張り巡らせた罠が、着々と包囲網を狭める中、その影響を受けつつ「覚醒させただけ」なのに、どんどんヤバさを増しているのが入間公平(高橋克典)の妻・瑛理奈(山口紗弥加)。

「瑛理奈の原作キャラクターのエロイーズは、モンテ・クリスト伯から毒を与えられていましたけど、瑛理奈の場合は毒も自作(笑)ですからね、完全に自主的に動いている人です。第5話で真海が覚醒はさせましたけど、そもそもそのヤバさはナチュラルボーンだったという。

ただ、いくらヤバい人でも悲しみがあるはずで、作品や設定には描かれていませんが、瑛理奈は『どうやったら愛を得られるのか、わからない人』と考えています。

未蘭(岸井ゆきの)を邪魔な存在と思うのは、入間の一番の関心は未蘭にあって、しかも彼女がいると常に、自分は後妻であることを突きつけられる…。瑛人(宇都宮太良)のために、遺産がほしいだけの人みたいに見えているかもしれませんが、自分を無償で愛してくれる人としか、生きられないだけなんじゃないかと」

山口紗弥加
(画像提供:(C)フジテレビ『モンテ・クリスト伯』

とはいえ、気になるのは「しばらくお休み」と言われた、貞吉(伊武雅刀)の介護をしていたヘルパー・馬場(村松恭子)の安否だ。

「あのシーンを含めて、7話は山口さん史上1番怖かった。出口文矢(尾上寛之)を殺した後のハイテンション――『歓喜の歌』の怖さを更新してしまったというか…。

あれはもちろん、馬場さんを殺したわけではなく、クビにしたというつもりでした。台本通りです。でも、瑛理奈のシーンを編集で観て、監督と『この空気は…馬場さん、殺されちゃってるね』って(笑)なりました」


殺すとは一言も書かれていないのに、監督とプロデューサーに「これはもう、死んでいる」と確定させた山口紗弥加の演技がすごすぎだ。


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■未蘭の枷と信一朗が語る真理

(画像提供:(C)フジテレビ『モンテ・クリスト伯』

最もヤバい人から、話は自然と癒しの存在へ。

「瑛理奈のインパクトが強いですけど、そこに共存しているのが癒しの存在の一人・未蘭というのも、入間家のすごいところです。

未蘭はイマドキ信じられないほどの箱入り娘ですが、そこには母親が亡くなる時に『お父さんは、本当は弱い人だから』と託され、父親を悲しませないために…という枷を自ら課しています。

入間もまた、表には出さないけれど、そんな未蘭を溺愛していて、いわば“すれ違った状態の共依存”の父と娘なんです」


そして、そんな未蘭が初めて父に反抗してでも、一緒にいたいと思う相手がもう一人の癒しの存在・守尾信一朗(高杉真宙)だ。

「7話の終盤で真海に会った信一朗は、『どこからでもやり直せるって、俺は信じたいです』と語りました。信一朗のセリフは、すべての真理となっている言葉が多いのですが、一般論は絶対に言いません。

このセリフでも『俺は…』というところが大事で、すべて自分の言葉として話をする。信一朗の人柄が出ていますよね。そういう相手の根底にある人間性を感じると、真海の心には響くところがあります。

例えば、留美(稲森いずみ)が安堂完治(葉山奨之)を息子だと知った時の様子を見て、自分の計算通りではなかったことよりも、『母親というのは、そういうものなのか』と驚いた――そこでブレたりはしないけど、そうした言葉が届く心は真海にもまだあるんです」


しかし、信一朗と未蘭が交際しているという事実は、真海の計画にとって誤算でもある。果たして二人の関係性に気づいたとき、真海は計画を変更することになるのか? そして、癒しのカップル・信一朗と未蘭は幸せになれるのか…。

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■自らの欲望に堕ちる神楽と入間