桜井ユキが語る『モンテ・クリスト伯』愛梨の抱える想いと切なさ
意外なキャラ属性のたとえにお茶目な一面も…注目の女優・桜井ユキが見ている江田愛梨の姿とは
2018/05/24 06:30
モンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が、かつて自らを陥れた者たちに復讐を繰り広げる『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』(フジテレビ系)。
真海の意を受けてさまざまな仕掛けを施している江田愛梨は、別人のような二つのキャラクターを見せ、回を追うごとに存在感を増している。
そんな愛梨を巧みに演じ分ける桜井ユキに、その人物像や真海への想いについて話を聞いた。
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■愛梨のピュアさと二面性
第5話の終盤、愛梨もまた大倉忠義演じる幸男に対して復讐心を持っていると明らかになったが、未だ謎は多い。
「幸男に対しての復讐心以外は、真海さんとどうすれば一緒にいられるのか…愛や恋というよりも強い依存心があって、真海さんの横にいられなければ、生き残っている意味すらないと思っている人物ですね。
第6話で幸男に殺意を持つ理由が明らかになりますが、絶望的な状況を味わいながらも、自分を助けてくれた真海さんへ執着心を持てるところに救いを感じますし、ピュアなキャラクターで、大胆な行動はしていますが、奇抜なわけではないんです」
今夜の放送で、愛梨が復讐に手を染める背景が見えてきそうだが、愛梨の特異性は復讐の対象・幸男のマネージャーであり、妻のすみれ(山本美月)や娘の明日花(鎌田恵怜奈)とも信頼関係を築いていること。
真海からの指示もあったはずだが、殺したいほど憎い相手に潜入目的とはいえ、なかなかできそうにない気がするが…。
「生活の中で、切り離していると思うんです。復讐したいという気持ちと、南条家の人たちと関わる部分の間にはシャッターがあって、それをしっかり閉じて、マネージャーとしての役割を果たしています。でも、そこへ真海さんが登場して、コマが揃うことで何かが崩れだす――シャッターを下ろして分けられていたのに、閉じていたはずのシャッターが緩んでしまうんですね。
例えば、すみれは復讐の対象ではないけれど、真海さんの気持ちを察して、すごく複雑なものがある。気持ちのいい存在ではないわけです。すみれは太陽みたいな、自分の持ってないものを持っている。憎たらしい…。そういう女性が女性に対して持つ感情が、出てしまいます」
■真海への想いで暴走も
第5話では、すみれを遠ざけようとする真海に、わざとすみれを引き合わせた。
「真海さんにとってすみれは、脅威なんです。モンテ・クリスト・真海として復讐しようとしても、すみれを前にすると柴門暖が漏れ出てしまう。そうした真海さんに対して、愛梨は賭けに出たんです。
真海さんとすみれを会わせて、真海さんがすんなり躱せたら救われる――なのに、ぶつけてみたら明らかに動揺したので、盗聴しながら『これは、黒じゃないか!』って。
すみれへの嫉妬心から、確かめたかったこともあるけれど、真海さんに目を向けてもらえなくなるのが怖いという気持ちが、愛梨が暴走してしまいがちな理由ですね」
真海のそばにいる愛梨には、「孤独との戦い」もあるという。
「監督とのお話の中で、設定としては真海さんとの肉体関係はあるけれど、自分に対して好意を向けられていないと感じている――そのことに気づいているけれど、身も心も捧げている。
お芝居している時は、真海さんの顔が見えないシーンが多いのですが、放送を観た時に『微動だにしてない…こんな空洞みたいな表情されているんだ』って、『ここまでもしても、こっちを向いてくれないんだ』って、改めて切ない気持ちになりますね。それでも真海さんが愛しいし、一緒にいたい愛梨は、“女の子だなぁ”と思うし、とてもつらいと思います」
そんな愛梨という人物を、桜井自身はどんな気持ちで演じているのだろうか?
「役を他人として見たり、役と自分を切り離したりすることはなくて、自分と愛梨をシンクロさせて演じています。同じ状況になったら、愛梨のように行動に移せるか――というと、たぶんできないけれど、置かれた立場を考えると共感できるし、なぜ行動するのかは理解できる。
なぜ愛梨がこうなったのか? という、積み重ねで構築されている部分もあるけれど、人の考えって、全てが構築の果てにあるわけじゃない。何か一つのきっかけで、変わってしまうこともある。そうした点も含めて“人間らしさ”を感じるキャラクターだと思っているんです」