卑劣な盗撮犯に詐欺を働く「盗撮ハンター」 警視庁による逮捕を弁護士が読み解く
卑劣な盗撮犯を狙って詐欺行為を行う「盗撮ハンター」が逮捕された。
■「警視庁による逮捕」に注目
今回の事件の特徴は、盗撮ハンターを逮捕したのが「所轄警察ではなく警視庁本部」ということです。盗撮ハンターの対象者は盗撮という犯罪行為をした者でもあるため、盗撮犯から警察に自ら被害申告するというケースがほとんどありません。
ところが、近年、盗撮犯の増加にともない盗撮ハンターも急増しているため、警視庁本部としては無視できなくなったということがあるでしょう。
今回のケースでは、恐喝未遂ということですが、盗撮ハンターの中には盗撮犯に対して急に殴りかかるというケースもありました。こういったケースでは恐喝罪や強盗罪になり得ます。
また、「俺の彼女」といっているわけですがそれは嘘なわけで、詐欺罪にも該当します。ところが、盗撮犯自身も盗撮という犯罪行為をしているので、自ら被害申告することはほとんどありません。
結局は、盗撮ハンターの言いなりという状態になるわけですね。
■盗撮ハンターの多発地帯は…
とにかく盗撮ハンターがよく出没する場所があります。それは東京駅です。私の元に来る相談のうち東京駅での事件が圧倒的です。とくに東京駅の京葉線地下通路ですね。
東京駅での事件では新幹線通勤をしていたり社会的地位のある盗撮犯も少なくありません。社会的地位を失いたくないあまり必死で示談にするよう懇願するわけですから盗撮ハンターからすると恰好の対象になるわけですね。
他には新宿駅、池袋駅、渋谷駅等のターミナル駅での事件が少なくありません。また大規模ターミナル駅以外では若い女性の多い秋葉原駅周辺ですね。
駅以外で多いのはとにかく本屋です。女性が本に集中しているとなりで盗撮犯が本を手に取るふりをしてしゃがむと同時に盗撮するわけですね。
■盗撮犯のその後の人生は
盗撮犯も一度盗撮ハンターにお金を払ってしまったケースでは、数か月後に「俺の彼女がPTSDにかかって入院した。追加で治療費払え」とさらに強請られたケースも少なくありません。
盗撮犯としては一生強請られ続けるのか、それとも自ら警察に自首するかという選択になるでしょう。もっとも、一人で自首した場合には、警察から身元引受人として家族や職場の上司を呼ばれることがあります。
盗撮ハンターの行為は犯罪ですが、もちろん盗撮行為そのものも犯罪です。そもそもは盗撮する人物がきっかけになっていることは否めないでしょう。
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(文/<a href="http://rei-law.com/">レイ法律事務所</a>・河西邦剛(弁護士))