越後杜氏の故郷で元禄からの歴史を守る『頚城酒造』 地元と連携した農業プロジェクトも
よく知られる越後杜氏の中でも「越後三大杜氏」のひとつが頸城杜氏。
■今季から40代の新杜氏に
今季の酒造りから、杜氏が交替し、40代の吉崎さんが新たに杜氏として指揮を振るうことになる。
「新杜氏となる吉崎は入社時から杜氏となるべく、山田前杜氏に託した。前杜氏はそれに応えて技や心構えなど頚城杜氏として持てるものすべてを彼に伝えてくれた。酒造りの世界で杜氏は神格化され、蔵人にとって気を使う存在。
ただうちの場合は、蔵人もほぼ、吉崎よりも経験が長い。杜氏制度ですから、杜氏である彼がリーダーシップを持ち、全責任を取る。けれど、まだ若い吉崎はみんなの手助けがないといい酒が作れないんです。
ですからうちの現状は、トップダウンのピラミッド型ではなく、チームワークを重視しフラットな関係の酒造りです。吉崎杜氏も、みんなと一緒という心構えで頑張っています」
伝統の頚城杜氏の技を受け継ぐ頚城酒造。柿崎の地で作る米の意味から理解する蔵が醸す酒は、地酒とは何か、故郷とは何かという強いメッセージが込められている。
蔵元が勧めるお酒を紹介しよう。
①『越路乃紅梅』
柿崎産五百万石100%の特別本醸造。幅広く感じる旨味とキレのある後味が印象的な辛口タイプで食中酒として最高の1本と蔵元の太鼓判付き。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の最高金賞を2年連続受賞。
②『越路乃紅梅 八反錦』
地元農家と契約栽培をした八反錦を55%まで精米し、素材である米の旨みを引き出すべく長期低温発酵で醸した、一度火入れ瓶熟成の純米吟醸酒。上品な香りと爽やかな酸味に馥郁たる味わいで飲み口柔らか。
③『久比岐 和希水』
「わは平和の和、仲間の輪の和、きは希望の希。和をもって柿崎の希望の水を後世に伝えていこうという願いが込められています。雫のデザインは名水の雫であり、柿崎の青空と湧き水の青。このラベルは夏バージョンと秋バージョンがあり、変化しますので、ぜひ飲み比べてみてください。」(八木社長)
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(取材・文/Sirabee編集部)