極軟水「天狗の清水」が醸し出す淡麗辛口 晩酌酒『越後杜氏』にかける五泉市の酒蔵
大吟醸と淡麗辛口に、新潟の中でも先駆けて取り組んだ。
■霊峰白山を水源にする「天狗の清水」
金鵄盃酒造は、村松藩三万石の城下町だった旧村松町(現在は五泉市)で1824年に創業。 社名の由来となったのは建国説話に出てくる金色のトビで、神武天皇を無血勝利に導いたとされ、平和の象徴といわれる。
1940年代、村松に置かれていた陸軍の大佐からをいただいたことから、この名を銘柄にした酒を発売した。
創業から190年余り、地元に愛される酒を信条に、総じて味のきれいなさっぱりとした飲み口、キレの中に旨みが膨らむ味わいを求めてきた。
一方で吟醸造りには技術力の錬磨を目的に早くから取り組み、全国新酒鑑評会での金賞受賞歴は、過去10年で7回と県内でもトップクラス。 こうした酒が造れるのも水に負うところが大きいと蔵元は語る。
「霊峰白山を水源とする伏流水『天狗の清水』を、仕込み水だけでなく米洗いにも割水にも使っています。幾層もの地層をくぐり150年もの時間をかけて濾過された地下水脈は、弱酸性で極軟水。昔、松村藩の殿様が使っていた井戸と同じ水脈なんです」
「天狗の清水」の名の由来は、白山の禅寺・慈光寺周辺に数多く残る天狗伝説に因むという。白山は修験者の山だったことからも、「天狗の清水」は厳しい自然に守られた水源であることが偲ばれる。
■蔵人が作った米で酒造りするのが理想
このように水がきれいで水量も豊富な地域では、稲作が盛ん。三方を1,000m級の山々に囲まれて山の気候を受けやすく、昼夜の寒暖差が大きいことも稲作には好条件となっている。
酒造好適米の栽培も行われ、この蔵では地元産五百万石が大部分の酒に使われている。
「蔵人は年間雇用ですが兼業農家が多いんです。ですから田植えや稲刈りの時期になると、休暇を取って田んぼに直行。それだけにコメを見る目があり、頼もしい限りです。
杵渕杜氏は新潟清酒学校の卒業生だし、蔵人は酒造国家検定一級技能士の資格も持っているんですよ」
と、社長は全幅の信頼を置いている様子。蔵人が作った米で酒造りするのが理想だと話を結んだ。
以下は蔵元お勧めのお酒。