創業110年の蔵を引き継ぎ若い蔵人も育てる 百貨店でも好評な新潟・DHC酒造の挑戦
化粧品ブランドとして有名なDHCだが、新潟の老舗酒蔵も引き継いでいる。
■しっかりした味わいのブランド『越乃梅里』
生産の舞台を担うのは新潟市北区にあるDHC酒造である。前身の小黒酒造は1908年に創業。1990年代には関東信越国税局の鑑評会で毎年のように金賞を受賞していた。
全国新酒鑑評会でも金賞受賞の常連で、「有機JAS認定工場の取得」にも取り組んだ。安全で安心して美味しく飲める酒造りを念願してのこと。 DHC酒造ではこの理念のもと、いまも『越乃梅里』シリーズを展開する。
『越乃梅里』は、1995年には関信局鑑評会で首席第1位も獲得した実績があり、「1989年に発売したしっかりした味わいのブランド」と強い信頼を置いている。
蔵がある新潟市北区はかつて豊栄市(とよさかし)と呼ばれたエリア。穀倉地帯の中心部に位置し、古くは越後国豊田荘だった地域でもある。その名からも想像できるように、豊かな稲作の実りに恵まれてきた。
周囲に良質の酒米産地が控えていることは、酒蔵にとって有利な立地条件。
「恵まれた環境でDHC酒造が目指すのは、人の手をかける酒造りです。スッキリとしてかつ深みを感じさせる味のバランス、そして爽やかな切れ味の酒質を追求しています」
ますます、期待を抱かせてくれる。
■満を持して発売した『悠天 純米吟醸』
2017年年5月には新ブランド『悠天』が発売された。「最高に美味しい辛口」を目指して開発されたという。
「コンセプトは、辛口でスッキリした味わいながらも吟醸香と米の旨みを感じられる純米吟醸です。新潟は淡麗辛口のお酒で知られますが、本格辛口がほしいという声が上がっていました。
辛口にはアル添酒が多いのですが、あえて純米吟醸での辛口を追求したのです」
「最高の美味しさ」を求めて、原料へのこだわりのみならず製法にも吟味を重ねたという。
「上槽し滓下げした後はすぐに瓶詰めして、火入れは1回のみ。特製の氷温庫で熟成させ、常に最上の品質で出荷できるようにしています。柔らかい飲み口、旨み、香り、そして飲んだ後に広がる余韻まで楽しめる、飽きのこない日本酒です」
とのこと。 辛口ならではのシャープな味わいを引き立てるには、涼冷え(15℃)くらいの温度がお勧めとか。