名杜氏の薫陶を得て蔵元杜氏デビューの『宝山』 業種を超え仲間を巻き込み日本酒を楽しむ
酒米を一切使用せず、食用米として知られるコシヒカリを全量使っての酒造りも。
■「コシヒカリを麹米に」という挑戦
酒造りを少しでも知っている人なら、心白の小さい飯米でお酒が造れるものなのか、とまず、思うところだろう。掛け米として使用するのがむしろ一般的。
コシヒカリで造れるものかどうかと、新潟県醸造試験場に聞き行った際にも、「麹は五百万石か山田錦にして、掛け米をコシヒカリにしなさい」と指導されたという。
極論をいえば、酒米と飯米では、必要な要素が逆。酒米でさえ、雑味のないお酒を造るために大量に磨くことになる。
ところが、醸造試験場のアドバイスに青柳杜氏が、「麹もコシヒカリでなければ意味がない」と意地を見せたのだ。
それから数年、4代目と青柳杜氏のチャレンジが続く。失敗も繰り返し、苦労の末に完成させた『コシヒカリ純米吟醸 宝山』は、蔵を代表するお酒のひとつとなった。
■人気の酒蔵見学
「最初は、不安でしかなかったんです」と、主に蔵見学を担当している女将さんが話す。先代の頃から少しずつ受け入れていたとはいえ、ツアー会社に頼まれて引き受けることは、勇気もいることだった。
しかし、団体客にも個人客にも同じように、我が家に招き入れる気持ちで接し、熱心な解説や、お座敷に場所を移しての酒造りの説明、そのあとの試飲という充実した案内が大好評。
街道沿いに建つ、昔ながらの佇まいの小さな酒蔵。きっと、それまでも覗いてみたいと思っていた人は多かったに違いない。 最後の試飲は、庭を眺める立派な座敷。
「家族は使わない場所なので、有効利用できてよかったんです」と、笑って話す。 予約は必要だが、見学は無料で行っている。
桂太さん:弥彦・多宝の伏流水である敷地内の井戸水を仕込み水に、お米は、米どころ・新潟の誇りとして、県産米にこだわって、手造りで行っています。
地元からたくさんのものをいただいていますので、地元を元気にできる存在でありたいと思っています。新潟に是非、いらしてください。
蔵元が勧めるお酒を紹介しよう。