旧長岡藩主・牧野家の酒蔵を受け継ぐ柏露酒造 果実リキュールなど新たな挑戦も

創業130年超える歴史を誇るが、地元密着の蔵として挑戦を続ける。

■新しく立ち上げた『氵』シリーズ

越乃柏露

柏露酒造が蔵を構える長岡市は、昔から長岡藩の城下町として栄えてきた。長岡駅から車で10分、「長岡藩主牧野家資料館」には牧野家の繁栄の跡が残され、300分の1のスケールで再現された長岡城の偉容も見ることができる。

また越後平野の中央に位置し、越後の良質米の集散地としても賑わってきた。市内には、現在も新潟県内で最多である16の日本酒蔵が点在する。

こうした激戦地にあって埋もれないためには、個性ある商品の開発も課題となる。新しく立ち上げた『氵』(さんずい)シリーズはその一例。

「さんずい偏は水を表し、他の漢字につけられて意味を成します。蔵の命ともいえる水と、伝統的な技術が出合うことで醸される清酒造りの原点を表現しました。なんだろうと思ってもらえたら、それだけで第一段階クリアです」


ラベルには筆で大書された「氵」。たしかに初めて目にすると一瞬、意表をつかれる。

酸度やや高めで白ワインのよう、と評価されるこのシリーズ。淡麗辛口の新潟酒と全くかけ離れているわけではないが、旨みも重視しつつ飲み口の良さを実現しているという。


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■地酒蔵として地元密着の新たな動き

越乃柏露

柏露酒造の酒は多くが県外に出てしまうが、近年は地元密着志向が顕著。2017年には長岡を本拠地とするプロバスケットチーム『アルビレックスBB』の選手を迎え、ファンと共に蔵人の田んぼで田植え。従業員を引き連れ、社長も自ら泥にまみれた。

また中越地震で大きな被害を受けた長岡の蓬平温泉では、「女将の会」を中心に復興のシンボルとして花桃を植栽しているが、温泉旅館とのコラボで桃のリキュールを開発。

イメージキャラクター「よももちゃん」をあしらった『桃のお酒』が誕生し、温泉宿では食前酒として提供されている。

「清酒ベースの白桃リキュールで、甘すぎずさっぱりとして爽やかと好評のようです」と、尾坂さん。 アルコール度8%、桃ジュースのような香りというのも女将たちに人気の秘密らしい。

もうひとつ、女性のハートをつかんでいるリキュールが『W柚子』。大分産と宮崎産の2種のユズを使っている。 甘みと香りの2種のユズを贅沢にブレンドし、深みある味わいに仕上がった。香りと味わいをダブルで楽しめる柚子酒というわけだ。

さらには『朱鷺の舞』という吟醸酒、純米酒を発売し、新潟県トキ保護募金推進委員会の一員として、この商品の売上金の一部をトキ保護募金に寄付し、野性復帰のための取り組みを支援している。

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■製造比率は特定名称酒94%、普通酒6%