長岡三島ならではの個性にこだわる 地酒蔵としての使命を語る『想天坊』の蔵
『想天坊』『じゃんげ』といった変わった名前のお酒には、深い郷土愛が込められている。
■これからの日本酒は酸があっていい
「目指す酒は毎年変わります。だから使う酵母も状況によって変える。食生活、生活環境は日々変わっていくんですから。地元に合った晩酌酒という、うちのスタンスさえブレなきゃいいんです」
と、蔵元は業界を展望し語った。 「同じ酵母を使っても耐性が出てくるから酒は違ってきます。米も同じ田んぼで作っても、毎年違ってくる。だから毎年が挑戦」 というのが、蔵元の持論だ。
究極は家庭料理で飲める酒。和食といっても唐揚げもあれば生姜焼きだってある。和食に合う酒はこうだと形にはめることはできない、と話は続いた。
「これからの日本酒は酸があっていい。ワインを飲み慣れてきたから、酸度の高い酒も受け入れられるようになっていますね。当社も、かつて持っていた酸への意識とは変わってきました。とはいえ、やはりシビアに捉えていて、バランスを重視しての許容範囲内で、です。肉料理などにも合うと思います」
■「新潟らしさ」の中に個性を
河内さん:うちの酒をどこで最初に飲んでもらえるか、というと、飲食店で知ってもらうことになります。となると全国の酒との勝負。
新潟らしさを出しながらも個性を感じてもらえる酒をコンセプトにしています。
そんな蔵元お勧めの酒を紹介しよう。
① 『想天坊 大辛口 普通酒』
定番の辛口酒。日本酒度+10の大辛口の中に旨みを追求。常温では柔らかさときれいな旨み、冷やすとスッキリとした印象に。
② 『想天坊 外伝 辛口純米酒』
純米の新しい味わいを表現した意欲作。日本酒度+10だが、ただ辛いだけでない純米酒を目指した。すっきりとしてキレがあり、食事の邪魔をしない。
③ 『想天坊 高嶺錦 純米吟醸』
地元産「たかね錦」使用。吟醸造りならではの雑味の少ないきれいな味わいで、純米のコクと旨みを堪能できる。
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(取材・文/Sirabee編集部)