厳しい自然を力にする『玉風味』 誰にも真似できない世界のオンリーワンを目指す日本酒

江戸幕府4代将軍家綱の時代に創業、今も新たな挑戦を続ける新潟県魚沼の酒蔵。

■まるでSF? 「冬眠」がもたらす土地ならではの酒

玉風味

ここでは万年雪を使って「ゆきくら」と呼ぶ雪中貯蔵庫を建造した。

「弊社は瓶貯蔵です。お酒が空気に触れる面積が少なく1本の容量が少ない分、隅々まで熟成します。雪の中の温度は約2℃で、湿度は90%ぐらいです。また電気による振動はまったくありません。


まるでお酒が雪山で冬眠するかのように熟成します。歳は取っているけど若いまま……SF映画でよく見るコールドスリープというあの発想と同じ」


物流や技術の発達により季節や気候を問わず同じ酒を造ることも可能な時代だが、玉川酒造は1年1年に勝負をかける。それは顔が見える、蔵の景色が見える酒であるということ。

「新潟代表となる蔵、日本代表の酒蔵というのではなく、うちは世界でオンリーワンというポジションを目指しています」と熱気があふれる。


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■奇をてらうだけではダメ

風間さんが語るのは、日本酒の個性と未来だ。

「弊社は『100人に1人、好きだという人がいたら造ってもいいじゃない』というスタンスです。度数46度で凍らない酒と注目された『越後武士』は、発売当初はとんでもない酒だといわれていました。


梅酒も今日では当たり前となりましたが、日本酒の蔵元が手掛けるのは、10数年前はかなり異端視されていました。それでも 『清酒の可能性を広げるための挑戦だ』と考え、造り始めたのです。


そういった新しい商品を開発する上で重要な信念があります。それは社長の考えの根底にある『奇をてらうだけではダメで、100年先でも飲まれている酒でなければ意味がない』ということ。


弊社は変わった商品も多いですが、商品を終売にもなかなかしないです。どれもこだわって自信をもって造ったもの。流行りに便乗するのは伝統ある企業がやることじゃない。伝統とは創るもの。創ることによって続くものです」


今季も雪に囲まれた白き世界の中、玉川酒造は100年先の酒、米の可能性を求めて造り続けている。蔵元が薦めるお酒を紹介しよう

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①『越後武士(えちごさむらい)』