発酵の町で個性ある手造りの吟醸酒を 「酒に心あり」 越の華酒造の挑戦
先代社長は樺太で抑留され、北海道から酒蔵再建のため新潟へ。
2018/01/08 22:00
■北海道から渡った父の言葉を社是に
明治3(1876)年創業。以来、明治、大正、昭和、と、各時代に建てられた建物は文化財級の酒蔵。着実に規模を広げていった様子が伺える。
しかし、小野寺社長は自らを2代目と呼ぶ。1951年、経営不振だった当時の酒蔵を再建するため、小樽から一人で新潟へやってきて見事に使命を果たした、尊敬する父・小野寺寛氏を初代とするからだ。
太平洋戦争の際、樺太に抑留されていた経験もあり、波乱万丈の人生を送った先代は、数多くの訓言を残したという。
■一滴一滴に心をこめる
小野寺社長は、新潟清酒学校の第2期生でもある。学校がスタートした一期の時から入校を希望し、貪欲なまでに学んで来た、と笑う。
そのことが今につながっているのか、次々と生み出されるユニークな酒には、海外の有名シェフも注目するほど。
表面に現れるのは奇抜さだが、最も大切にしているのは一番最初の原料処理であり、一滴一滴に心を込めること。基本を崩さず前向きな姿勢、先を世界を見据えた視野の広さは、今も変わらない。