「新潟銘酒の父」の教えが流れる糸魚川の酒 蔵人の栽培米だけでつくる6人の蔵とは
国税庁酒類鑑定官として新潟清酒を叱咤激励した田中哲朗氏の教えを今も守る。
■未来の5代目とともに
猪又当主:昨シーズンまで40年以上も勤めていた吉川杜氏の佐藤さんが引退し、今期から新しい製造責任者が誕生。地元出身で21歳から佐藤杜氏の薫陶を受けてきました。現在37歳、これからが楽しみです。
造りの体制は私と息子も蔵に入っていますから総勢6名。25歳から57歳までの働き盛りがチームワークで醸しています。蔵内の設備は昔ながらの和釜に甑、10㎏の箱麹法。搾り機だけは先代が槽を自動圧搾機に変えました。
当時は70代の蔵人が主だったので、労力を考えてのことのようです。このような先代の志を大事にしながら、新しい試みにも挑戦していきたいと思っています。
猪又酒造のお酒は熟成によってより美味しくなる酒質。米本来の味を生かして造られた酒は、熟成によってなじんだ柔らかな味わいとなる。この蔵だけにしか造れない深い香りと旨味が感じられる。
蔵元が自信を持って勧めるお酒を紹介しよう。
①『純米大吟醸瓶囲い <邂逅 思>』
糸魚川市早川谷産の「五百万石」を100%使用。精米歩合45%で醸した純米大吟醸を瓶火入れ後、2年間低温貯蔵して熟成させた。
奥深い熟香・熟味を堪能できる。米の味とコク、ほどよい甘味は酒だけで十分楽しめるが、チョコレートなどのスイーツとも好相性。