貯金ゼロのアラサー記者が伝説の金融マンに「投資」を教わった
伝説の金融マンに「投資の心得」を教えてもらいました。
提供:株式会社東京証券取引所
この記事は「彼氏ナシ・貯金ナシ・金融リテラシーナシ」と三拍子そろった、迷えるアラサー記者・大木がお届けします。
突然ですが、皆さん、お金は欲しいですか? 私は、欲しいです! 将来への不安もあるし。
だけど「株」とか「投資」の話って、よく分からない横文字が多いし、調べるうちに眠くなっちゃうんですよね。
そんな中、東京証券取引所さん主催で「初心者向けマネーセミナー」(無料)が開催される噂を聞きつけ、開催地の札幌まで取材に伺うことにしました。
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■伝説のファンドマネージャー現る
講師は、「鎌倉投信」取締役の新井和宏さん。 メガネの貴公子という言葉がお似合いの男性です。
新井さんは、かつて外資系巨大ファンドで10兆円を動かしていたリーダー。
じゅ、10兆円ですよ…?
金額がデカすぎて感覚が掴めませんが、国家予算に匹敵するレベルですよね。
最先端の投資理論を駆使して活躍しますが、39歳のときストレス性の難病にかかってしまい退職します。
現在は、お客さんから託された310億円を基に、事業に共感する企業の株式などに投資をするファンドマネージャーに。
「お金を預かって、幸せを返す」というテーマを掲げイノベーションを起こす姿は、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で密着されるほど。
あの番組で特集されたなんて凄ぇ! 私のミーハー心に火が付きました。
第一線で戦ってきた新井さんから、どんな話が飛び出すのでしょうか。
■投資を始める前に
新井さん:これから投資を始める、もしくは始めたいけど不安だという人は、この中にどれくらいいますか?
質問に対し、会場120名ほどのお客さんのほとんどが挙手。
新井さん:株というのは、基本的に「安い時に買って、高い時に売れば良い」。王道といえば、それだけです。
ということは、安い時に買えるかどうか? という話になりますが、普通は安い時が分からないですよね。
「普通」と言いましたが、私も「普通の人」です。
誰1人、複雑な市場の流れを完全に分かる人なんていません。それは、プロも一緒です。
それでも震災以降、市場全体の株価が大きく下がった時期にも我々のファンドの下げ幅が小さかったのは、「良い会社を応援したい」、「日本を諦めたくない」という思いから投資を続けたからです。
私は、そのように思う人こそが「投資の世界で勝つ」と思います。
ふむふむ。まずは、投資への心意気が大事なんですね。新井さんのお話に、じょじょに引き込まれてきました。
■ 優良企業は「トイレ」でわかる!?
新井さん:先日、ある企業の視察に行きました。
広報の方が設備など説明してくださるなか、私は話の内容より、社員の方々の雰囲気しか見ていませんでした。
そして、来客用トイレではなく、現場で働く方が使うトイレを使わせていただきました。
なぜなら、水回りを見れば、社員がその会社を愛しているのか分かるからです。
『ここは自分の会社だ』と思う人が多い企業は、必ず水回りがきれいです。
ですが、自分の時間を搾取されていると感じる社員が多い企業のトイレは、本当に汚い。
そういうところで、会社を愛しているかすぐわかります。
そして社員と上司が、どのようにコミニュケーションとっているか。これも大事です。
投資をするときは、必ず会社の雰囲気を確かめてください。
たしかに、どんな会社も良い時期だけではないはず。苦境の時に踏ん張れるかどうかを左右するのは、社員の仕事に対する気持ちですよね。
結論1:投資先企業の観点として「社員の姿」も重要
■闇雲にお金を増やしてもダメ
続けて新井さんは、「お金のほかに大事なもの」について訴えかけます。
新井さん:本来は幸せを求めなければいけないのに、お金があれば幸せになれると勘違いしてしまう人も多い。
そうした考え方になってしまうのは、簡単です。会社の経営も一緒です。
本来は理念に基づいて動いていくべき集団なのに、いつの間にか「収益だけ」に向かって行動する仕組みに変わっていってしまうことがある。
会社を見るときに、こうした点を注意して見てください。
お金というのは、「力」であることは間違いありませんが、私は皆さんに幸せになっていただきたいんです。
皆さんが、一生懸命、自分の命を使って稼いできた大事なお金です。
それが、皆さんが思っていることと違うところに使われたら、不本意ですよね。それは消費も、投資も、寄付も、すべて一緒です。
自分が思い描く社会を作ってくれる会社かどうか判断して、投資すればいい。
投資へのリターンでお金と同じくらい大切なのは、「社会の形成」なのです。
企業を応援しながら社会も良くなって、資産づくりも一緒に出来たらステキ…。
結論2:「思い描く社会」を作ってくれる企業かどうかが大事
■ 有給を誰も使いたがらない会社の話
新井さんが投資しているメーカーで、こんな事例も。
その企業では障害者雇用率が14.56%にのぼり、374名の障害者を雇用。うち、重度の障害者が約73.0%を締めているそう。(※2016年3月末時点)
しかし、全員が正社員で、経営も黒字なんだとか。
新井さん:重度の障害者を最低賃金を上回る金額で雇用し、採算が合うようにしている点が、この会社のポイントです。
彼らの能力を最大限に引き出すため、企業としてどのようなことに取り組んでいるのか、本質はそこにあります。
この会社は、困っています。「土日は要らない。早く月曜日になってほしい」と社員が言うため、有給を誰も使いたがらないから。
それほど、働いている障害者の方々のモチベーションが高く、誇りを持って仕事をしているのです。
従業員である彼らは、自分たちがここで仕事をしなければ、会社の売り上げは半分に落ちることを知っているのです。
企業の本質を見抜き、見た目の数字に騙されないようにしてください。
感動、共感を生んでいくために大切なのは、効率だけではありません。
なるほど…。さまざまな社会的取り組みをしている会社もあるんですね。
結論3:社会性と経済性が両立できる会社が良い
■ めっちゃ勉強になった
セミナーでは、ほかにも新井さんによる具体的なアドバイスが飛び交う場面も。
すぐお金が貯まらならなきゃ意味ないじゃん! そう思っていたけれど、もっと大切なことを教わった気がします。
こんな深い話が聞けて、このセミナー無料って…。ふふふ、使わない手はないな。(ニヤリ)
今後も不定期で開催されるみたいです。 気になる方はぜひ。
(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部 提供/株式会社東京証券取引所)