「自分の子供迎えに行けない」 元小学校教諭が語る「過酷な雑務」の実態  

教材の発注から給食費の計算、銀行とのやり取りに役所に提出する書類の作成…何から何まで「担任の先生」の仕事! 過酷な雑務に追われる中、先生たちを支えているものは…?

2017/05/15 15:00

小学生
(Tomwang112/iStock/Thinkstock)

中学校教諭の残業時間が、国が定める「過労死ライン」を超えていることが明らかとなった。中でも、部活動が教員への負担を大きくしていることが問題視されている。

では、部活動のない「小学校」ではどうなのか。しらべぇ編集部は、子育てをしながら長年小学校教諭を務めたAさんに取材を行なった。


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■事務作業は放課後、時間外手当はなし

Aさんが担任を持っていた頃にこなしていた「雑務」の内容と、「時間外労働手当」について聞いてみると…

――時間外労働手当が出ないのは本当?

Aさん「年度始めや、成績を付ける時期はとくに忙しいです。休日出勤をする先生も沢山いました。色々なプリント作りや教室の掲示物作りなどは、児童が帰ってから行います。そのため、定時に帰れることはまずありませんし、時間外労働の手当は支給されません」


――1日の勤務時間はどのくらい?

Aさん「私は、朝6時前には起きて子供を保育園に預けて出勤、帰りは近所に住む義父母に子供のお迎えに行ってもらいました。遅い時だと夜21時まで学校にいました。そのため子供と一緒に夕飯を食べられたことはあまりありません」


2人の子供を育てながら小学校教諭として働き続けたAさん。残業に追われる日々の中で、家族や親戚、地域のサポートに助けられたという。

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■分担しても終わらない「膨大な雑務」

小学校教諭が抱える雑務は、膨大だという。

――どんな雑務をこなしていた?

Aさん「教材の発注から給食費の計算なども担任の仕事です。牛乳が飲めない子には牛乳代を返金したり、転入生が来たら足りない分の教材を発注したりします。他にも銀行とのやりとりや役所に提出する書類の作成なども先生たちで分担してこなします。


運動会などの行事の時には連日遅くまで学校に残って準備をしなければなりません。また、東日本大震災以降、防災の規定が変わったり、避難訓練の見直しなど、とても忙しくなった記憶があります」


――保護者対応で大変だったことは?

Aさん「個人情報なので詳しくは申し上げられませんが、校長室で夜遅くまで話し合いをしたり、学校にお電話があった場合には、長時間お話させていただくこともよくありました」


小学校には、6歳の幼い子から、思春期を迎える高学年の児童まで在学するため、先生たちには多くのものが求められるのだそう。


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■熱を出した自分の子供を迎えに行けない先生も…

小学校教諭として勤務する中で、大変だったエピソードについても聞いた。

――とくに大変だったと感じた出来事は?

Aさん「私のクラスで熱を出してしまった子がいたのですが、その子の親御さんも、同じく教員の仕事をしている方でした。学校に連絡したら『生徒達を置いていくわけにいかないから、1人で帰してください』と言われました。


状況はよく理解できるのですが、さすがに1人で帰すわけにもいかず、保健室で休ませることにしました」


教員とは、何十人もの子供を預かる責任の大きな仕事。しかし、取材を進める中で、子供たちと向き合うこと以上に、膨大な雑務を抱えていることや、責任ある仕事に対価が支払われない現状が改めて浮かび上がった。


国の発展をも左右する「教育」の現場。子供達の未来のためにも、早急な「働き方改革」が求められる。

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(取材・文/しらべぇ編集部・もやこ

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もやこ

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