多摩動物公園でチンパンジーが脱走!?恒例の着ぐるみ訓練がすごかった
動物園で、檻から動物が脱走してしまったら…?
2月7日、そんな想定で多摩動物公園にて行われたのが「猛獣脱出対策訓練」だ。
名前だけ聞くと怖そうなこの訓練、やっている人はもちろん真剣だが、はたから見るとかなりシュール。なぜなら脱走した動物を演じるのは、着ぐるみなのだ。
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■2017年は「チンパンジーが脱走」
今年、脱出想定された動物はチンパンジー。
「地震によりアフリカ園チンパンジー舎運動場のタワーのワイヤー下部が外れ、ワイヤーにつかまっていたチンパンジー1頭が反動で堀の外へ飛ばされて観覧通路側に脱出した」と想定し、来園者の避難誘導・関係機関への通報・脱出動物の追跡捕獲・負傷者救護などの訓練をおこなうものです。(多摩動物公園 公式サイトより引用)
スケジュールも事前に決まっており、脱走を確認後どのように捕獣網まで誘導し、麻酔銃で眠らせるか…など詳細に訓練を行う。
■動物脱出対策訓練、開始!
アナウンスが13時半に流れ、訓練がスタート。地震の影響でチンパンジーが1棟、脱走してしまった。
脱走したチンパンジーは捕獲作業をしている隊員2名を攻撃し、正門に向かってくる。
正門近くにあるウォッチセンター前では、捕獣網がスタンバイ。
車や捕獲隊員に追われ、捕獣網に突っ込んできたチンパンジーは、四方を囲まれてしまう。
チンパンジーもなんとか逃げようと網の方に襲いかかるが、網を揺らしたり棒で地面を叩くなどの威嚇をして逃がさない。
ある程度、網が狭まってきたタイミングで動物病院車が到着。
ゆっくりと距離を狭めつつ、麻酔銃でチンパンジーを狙う。
麻酔銃は一発で命中。チンパンジーはその場に倒れてしまった。
きちんと麻酔が効いているか、まずは車の中から棒でつついて確認。
つついても反応がないので、近づいて改めて確認してみる。
きちんと麻酔が効いていることが確認されたため、そのまま確保。網で包んで運ぶ。
かなりの人数の隊員で周囲を囲み…
そのまま運搬用の荷台へ。
無事にチンパンジーの捕獲が完了し、訓練終了だ。
■訓練には消防・警察も参加のガチぶり
訓練終了後は参加した約80名が集合し、総評・反省を行う。
動物園の職員だけでなく、消防・警察も参加しているのだ。
多摩動物公園の園長は、今回の訓練に関してこう話す。
「今回の想定動物はチンパンジーだが、大型のネコ科やゾウなど、どういった動物が脱出した場合でも対処できるように訓練している。基本的には広い場所を確保してそこに追い込み、麻酔銃で捕獲する。
見ている限りはかわいいが、実際は危険な動物も多い。動物園としては猛獣を飼育・管理する責任があり、万が一にも脱出してしまった場合速やかに対処できるようしている」
もちろんプラカードで動物の位置を表すことも可能だが、よりリアリティーを出すために着ぐるみを使っているのだ。
今回、「チンパンジー役」を務めたのは北園飼育展示係の田口さん。
若手の職員から選ばれており、普段からチンパンジーを担当している。歩き方や職員を攻撃する際のディスプレイ行動など、「チンパンジーならどんな動きをするか」を意識して演じていたそう。
映像や写真だけ見ると、ちょっとコミカルにも見える着ぐるみ訓練。しかし「起きてはならない事態が起きてしまったら、どうするか」を真剣に考えた、マジメな危機管理対策のひとつなのだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・たつきあつこ)
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