話題になった血液透析療法「自業自得だけではない」と医師が解説
2017/01/24 21:00
■血液透析がどんな治療法か知っているのは?
しらべぇ編集部が全国の20~60代の男女1,365人を対象に調査したところ、血液透析を具体的にイメージできるのは、41.5%であった。
年齢が高くなるにつれ認知度が増し、60歳以上では6割にのぼった。
本当にほとんどのひとが自業自得なのかを含め、内科医の記者が血液透析療法について解説する。
■透析装置は腎臓のかわり
血液透析療法とは、簡単にいうと、人工的に血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、電解質などのバランスを整える治療法。
健康な状態では腎臓がそうした役割を担うので、血液透析の主な対象は末期腎不全患者(腎機能がほとんど残っていない状態のひと)ということになる。
維持透析の場合、週3回透析クリニックに通い、毎回4時間程の治療をうける。
体への負担は少なくないしコストもかかるが、生存には不可欠。透析装置を「人工腎臓」と考えるとイメージしやすい。
よって基本的には、維持透析の中止=死であり、生涯にわたって治療を継続する必要がある。
■原因は糖尿病ばかりではない
日本透析医学会によると、我が国では約32万人が維持透析療法をうけている。
末期腎不全の原因で最も多いのは、糖尿病の合併症である「糖尿病性腎症」(約38%)。
2型糖尿病の発症には生活習慣が密接に関与し、新規透析導入者における糖尿病性腎症の割合は、増加傾向にある。
しかし注意して欲しいのは、生活習慣病ではない「慢性糸球体腎炎」が第2位(約31%)であり、その他、遺伝性の腎疾患などが原因になること。
透析患者だからといって、必ずしも糖尿病、自業自得というわけではないのだ。
■最後に
腎不全の原因が糖尿病由来であっても、真面目に治療をうけてきたひとは沢山いる。
腎機能の低下速度は、血圧・血糖値のコントロール状況に依存するが、一概に患者だけのせいにはできない。
たとえば大都市以外では、専門医へのアクセスが困難なケースが少なくない。稀ではあるが、治療の意義や合併症について、病気の初期段階から十分な説明をうけてこなかったひともいる。
生活習慣病が社会問題であることに疑いようはなく、医療費の抑制も必須だが、実状を把握したうえで精度の高い議論を交わすべきである。
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(文/しらべぇ編集部・青木マダガスカル)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年12月16日~2016年12月19日
対象:全国20代~60代の男女1,365名
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