ごめんなさい→ごめん+しなさい?謝罪なのに命令している矛盾
2016/11/24 21:00
34才になって、ようやく謝ることを覚えた俳優/ハイパーメディアフリーターの黒田勇樹です。
謝ったら謝ったで「謝ればいいと思ってるんだろ」とか言ってくるヤツはもう、今後の人生における大切な選択肢、ぜんぶ誤ればいいのに。
このコラムは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べる「妄想的」な語源しらべぇです。
■謝罪する場面でもっともポピュラーな言葉「ごめんなさい」
「ごめんなさい」。使ったことがない人を探すほうが難しいと思うのですが、ほんとうの意味を知って使っている人はどれだけいるのでしょう。
「なさい」、言い換えれば「しなさい」。よくよく考えてみると、謝罪をする必要があるはずの場面で、なにかを命令しています。
命令とは、一般的に立場が上の人間から下の人間に対する行為。下の人間が上に向かって行う「謝罪」の場面で、大きな矛盾が起こっています。いったい「ごめん」とはなんなのでしょうか?
■思い浮かぶのは「切り捨て御免」
「切り捨て御免」。時代劇では侍が悪役を切り捨てた時の印象的なセリフです。
切り捨てておいて「ごめん」。子供のときに「なにを言っているんだコイツ」と思った人も多いのではないでしょうか?
「御免」の「免」は「免れる(まぬがれる)」、つまり「よくないことをこうむらずに済む」「悪いことを回避する」意味です。
しかし、もう切り捨てちゃってる! 切られたほうには悪いことが降りかかりまくっています。では、だれが災いを避けているのかというと、切ったほう。
江戸幕府が「武士だけは理由があったら人切っても罪に問わないよ」と、決めた制度のことが「切り捨て御免」。要するに「理由があるから許して」と、いうことなんですね。偉そう!
よっぽどの理由がなく、誠心誠意謝る必要がある場面では、「言いわけできるような理由もありません」の「申しわけありません」や、「ごめんでは済まないことをしてしまいました」の「すみません」を使ったほうが良さそうです。
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(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)
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