【弁護士に聞いた】高畑事件「ハニートラップ」を疑う発言に名誉毀損の恐れは?

2016/09/10 17:30

ホテル
AndreaAstes/iStock/Thinkstock

強姦致傷の容疑で逮捕されたが、被害女性との間で示談が成立し、不起訴処分として9日に釈放された高畑裕太氏。

しかし、「示談となったこと」および「高畑氏サイド担当弁護士のコメント(母・高畑淳子が所属する青年座公式サイトに全文掲載)」をきっかけに余波が拡がっている。


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■「ハニートラップ」と書くメディアも

サイゾー系のニュースメディア『ビジネスジャーナル』は、「高畑裕太『無罪』と見解示した弁護士コメントが波紋。『ハニートラップ説』すら出るも、拭い切れない『矛盾』と疑惑」と題した記事を配信。

現在、元記事は閲覧できない模様だが、転載先で見ることができる。

ハニートラップ
画像は@niftyニュースのスクリーンショット

たしかに、釈放のニュースを報じた『しらべぇ』のFacebookページコメントにも、こうした意見は散見される。

一方、Yahooニュース個人では武蔵大学の千田有紀教授が、「高畑裕太さん釈放後の弁護士コメントは、被害者女性を傷つけてはいないか?」と題した記事で、弁護士コメントそのものを批判。数多くシェアされた。

関連記事:高畑裕太が示談成立で釈放 ネットでは「高畑淳子いくら払った」の声

■「名誉毀損」にあたらないのか弁護士に聞いた

被害女性に対して「ハニートラップ」を疑うようなニュース記事やSNS投稿に、名誉毀損といった法的問題はないのだろうか。

しらべぇコラムニストで、レイ法律事務所・代表弁護士の佐藤大和先生に見解を聞いた。

佐藤大和弁護士


佐藤弁護士:今回の事案は、さまざまなメディアが扱い方に慎重になっているのは事実です。


弁護人のFAXにある通り、強姦致傷は示談が成立しても不起訴になることは珍しい。検察も裁判しても「何かしらの理由」で公判維持ができないと考えている、とも解釈できます。


そもそも、法律上、公然と人の名誉を毀損した場合に「名誉毀損罪」になる可能性があります。簡単にいえば、公然と人の社会的評価を低下させるような事実を指摘した場合に問題になりますね。


そのため、「嘘の事実」を言って人の社会的な評価を下げた場合には、名誉毀損罪になる可能性はあります。また、内容が「真実」であったとしても、内容の公共性と目的の公益性がない場合も名誉毀損罪となりえます。


逆に「評価」の場合には、名誉毀損罪になる可能性はぐっと下がります。それは単なる評価まで名誉毀損罪の対象になってしまうと、感想さえ言えなくなってしまうからです。


今回の高畑裕太さんの件で、インターネット上では「被害者によるハニートラップという見方」があるようですが、これは事件の経緯を見た人の「感想・評価の部分」でもあるため、これだけで名誉毀損罪は厳しいでしょう。


ただ、名誉毀損罪になるかならないかはともかく、真実もわからないという前置きですが、個人的には、人が傷つくおそれがある発言については慎重にすべきかと考えています。


「感想・評価」だけでは名誉毀損罪は成立しづらいという見解だが、同時にセカンドレイプともなりかねない「人を傷つけるおそれのある発言」は慎重にも慎重を期すべき、とのこと。

これは、メディア関係者のみならず、すべてのネットユーザーが心しておきたい。

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(取材/しらべぇ編集部 文/レイ法律事務所・佐藤大和弁護士

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佐藤大和

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