「どこでもドア」を三菱重工が開発中?その正体とは…
2016/07/16 05:30
『どこでもドア』を、三菱重工が開発中だ。
どこでもドアを知らない日本人は少数派だろう。言わずもがな、ドラえもんのひみつ道具。だが、これはもはやマンガやアニメの中だけの道具ではなく、今年から実証実験されるというのだ。
もしこの話が本当なら、既存の鉄道会社や航空会社にとって大変衝撃的な出来事のはずだが…。
■駅で使うものだった!
三菱重工が開発を手がけたどこでもドアは、鉄道駅に設置される転落防止用ホームドアである。残念ながら、誰しもが手軽に海外旅行へ行けるものではない。もしそうなら、今頃は航空会社の株が大暴落しているだろう。
だが現実世界のどこでもドアも、非常に画期的な製品として注目されているのだ。
我が国日本の鉄道は世界最先端の技術を誇っている。にもかかわらず線路への転落を防ぐためのホームドアは、設置がなかなか進まなかった。理由は一言で言えば、「乗り入れ車両は1種類ではない」から。
たとえば、A駅には4ドア車と2ドア車が乗り入れているのに、ホームドアは4ドア車にしか対応していないとしたらどうだろうか。当然、A駅には利用客からの苦情が殺到する。そもそも、そんな愚かなことをする鉄道会社はまず存在しない。
転落事故が発生しているにもかかわらず、ホームドア設置義務化の議論が曖昧になっていたのはそれが原因だ。
■全車両対応ホームドア
どこでもドアは、4ドア車から3ドア車、2ドア車までの車両ドア開閉に対応できる。
また、設置の際に車両改修は必要なく、地上設備のみで運用が可能。開閉の操作も駅構内のシステムと連携するもので、車掌がそれに関わる必要はない。
今秋から久里浜線三浦海岸駅で実証運用が開始される。実用性は今の時点では未知数とはいえ、この製品は日本の駅の姿を大きく変えるかもしれない。
■どこでもドアが鉄道史を変える
日本は国際的に見ても、鉄道網が非常に整備された国。しかもその歴史は古く、日本初の鉄道が開業してからすでに140年以上経っている。
その間に様々な車両が開発されたが、ドア数の違う車両が混在するためホームドアの設置が遅れてしまったことは先述の通りだ。鉄道会社は、決して転落事故に目をつぶっていたのではない。「技術的限界」という、やむを得ない事情があったのだ。
だが、もはやそうした話は過去のことになりつつある。数年のうちにどこでもドアは日常の光景になり、ホームからの転落事故も「かつてそういうことがあった」昔話になっていくだろう。
現代社会は、着実に進化している。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
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