「文書」で注目、船籍や運河でも有名な国・パナマとは

世間を騒がせている「パナマ文書」。世界中の企業や著名人の口座や取引履歴が記載されていた。

パナマ文書以前に「パナマ」をニュースで耳にする場合、「パナマ船籍」「パナマ運河」に関する内容が多かったのではないだろうか。むしろ、それ以外ではパナマの国名を聞くことはあまりない。


■パナマってどんな国?

パナマのイメージ
©写真AC

パナマは北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の「つなぎ目」に位置する国。太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河を持ち地理的な「つなぎ目」に位置することから、要所とみなされてきた。国としては、1999年に米国からこの一帯の主権を獲得し、晴れて国家を名乗るに至った激動の歴史を持つ。


■税金天国?ではない

「パナマ文書」について語られるとき、「パナマは『タックス・ヘイブン』である」といった言い方をする。これは「税金天国」(tax heaven)ではなく「税金避難所」(tax haven)という意味合い。租税回避地(そぜいかいひち)と呼ばれ、税率が著しく低い、もしくは完全に免除される国や地域を指している。

税率が低いと国の税収が少なくなるが、その分、企業などを誘致しやすくなる。産業が発達しない小さな島国などが行う経済活動というとらえ方が一般的だ。


■船についても優遇

パナマ船籍
©写真AC

パナマは「便宜置籍船国」としても名高い。船舶は公海上を航行することから、どこかの国に籍を置く必要がある。原則、船の持ち主の国に登録するが、パナマをはじめとする便宜置籍船国に会社を作り、そこに籍を置くと「タックス・ヘイブン」の恩恵にあずかったり、船員の国籍要件を緩くしてもらえる。

結果として船の維持費が抑えられるメリットがあることから、 現在では全世界の船舶の半数が便宜置籍船国に籍を置くといわれている。


■日本とは異なる経済活動

今回のパナマ文書騒動は、一般になじみのない「タックス・ヘイブン」制度が関連することから、イメージがつかみにくく、分かりにくいことが不信感を増幅している感がある。しかしこの制度の歴史は古く、米国のデラウェア州なども法人に有利な税制や会社法をしいていることで有名だ。

日本政府も手をこまねいているわけではなく、タックスヘイブン対策税制を導入している。 直接タックス・ヘイブンに会社を持たない人でも、資産運用を金融機関に託している場合には、間接的にタックス・ヘイブン制度の恩恵にあずかっている場合もある。

今回の騒動をきっかけに、日本とは全く異なる形で経済活動を行っている国・パナマへの理解を深めてみるのもいいだろう。

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(文/しらべぇ編集部・上泉純

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Sirabee編集部

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