「AV女優の出演強要被害」問題に川奈まり子が語った1万字の真実
現役AV女優からも反論の声が上がる「AV強制出演」問題。川奈まり子氏の1万字を超える提言をご覧ください。
2016/05/07 09:00
■AV出演者は主体的になるべき
ひとつには、AV女優自身が、私が述べてきたようにプロダクションとの業務委託契約の内容確認をしっかりと行い、プロダクションと対等な立場の個人事業主であると強く自覚して、主体的になることです。本来、貴女は誰にも縛られていないし、仕事を拒否・選択する権利があります。
もうひとつ、プロデューサーや企画者、監督などのAV制作者が、違法性が疑われる強要行為を決して撮影現場で行わなうことは論外で、事前に出演内容を出演者に告知する義務もあるのだ、とAV女優自身も知っておく必要があります。
出演内容を確認し、出演合意書にサインして、出演するように。
AV制作のスタンダードな常識を、出演者自身が知らなかった場合、より高確率で悲劇が起こりやすいような気がします。NG事項は確認したか、出演合意書にサインしたか、事前に出演内容を知らされているか。予告されなかった内容は撮影現場で拒否できます。そして誰も貴女に無理強いできない。
いわゆる顔バレ・親バレなどを恐れているAV出演者が未だに存在することも問題。言い方は悪いですが、プロダクションやAV制作・製作に秘密を握られているも同様で、脅迫的な言辞によって何らかの強要が行われやすくなってしまいます。このIT時代に顔バレしないわけがないのに……。
秘密厳守ぐらいならともかく「顔バレ・親バレは絶対にしない」などといった甘言を弄するスカウト・マネージャー・プロダクションは信用してはいけません
。顔認識アプリがあるくらいです。いつか絶対にバレます。カミングアウトすれば脅されることも遠慮する必要もない。隠し事はないほうがラク。
■AV出演費はブラックボックス
強要被害の話からは脱線してしまいますが、プロダクションに所属するAV女優が、AVメーカーがプロダクションに支払う出演料を知ることができないのは大問題だと思います。
AVの出演料にはメーカーが支払う第一次の出演料と、プロダクションが所属女優に支払う第二次の出演料が存在します。フリーランスのAV女優であれば、第一次の出演料を直接メーカー或いは制作会社から受け取ることができます。
プロダクションと業務委託契約を交わしているAV女優は、メーカーからプロダクションに支払われた第一次の出演料の額面ですら、通常は知らされていないことが多い。これはおかしい。
第一次の出演料を知らされないまま、プロダクションから第二次の出演料を受け取るわけです。プロダクションは営業等の委託された業務の対価を第一次の出演料から引く。差額が第二次の出演料なのですが、このとき、第一次の出演料を女優が知らないことを幸い、異常なピンハネをする場合がある。
最近聞いたとある単体女優さんのケースでは、メーカーは彼女の人気や能力を評価して1本あたり150万円の出演料を条件に所属プロダクションと月1本出演の専属契約を交わしたのですが、彼女は月々10万円しか貰えなかったという……。幸いその後、良い事務所に移籍したそうですが。