「フリーメーソンの陰謀」を信じる?秘密結社の意外な正体は…
2016/05/02 05:30
「陰謀論」というものが、たびたび世間を賑わす。
たとえば秘密結社フリーメーソンは、陰謀論者の間ではもはや「定番商品」のようになっている。それに従えば、20世紀に発生した二度の世界大戦も米ソ冷戦も日本で発生した大震災も、すべてフリーメーソンの計画によるものだという。
その真偽はここではさておき、「日本人はフリーメーソンの陰謀を信じているか」ということを論じていきたい。
■全体の4割が……
しらべぇ編集部では、全国の男女を対象に「フリーメーソンの陰謀はあると思うか?」という内容の調査を取った。その結果は、じつに興味深い。全体の38.0%が「陰謀はある」と答えたのだ。
性世代別で見てもこの数字から大きく外れることはなかったから、日本人の約4割は「フリーメーソン=陰謀を企む秘密結社」と考えているのだ。
■ただの飲み会サークルか?
そもそも、フリーメーソンとは何なのか? この疑問に関してあらゆる人物が調査と考察を重ねているが、一番多いのは「ただの飲み会サークル」という結論である。
昔のフリーメーソンの集会は、パブやレストランで行われることが多かった。そしてこの組織は、女人禁制である。これを「妻に飲み会の邪魔をされたくないから」という解釈をしている人もいるが、もうひとつ重要なのは「パブで集会を行っていた」という点だ。
イギリスの老舗パブは、今でも入り口がふたつある。これは中産階級用と労働者階級用の区別だ。今はともかく、昔は階級に応じてパブの室内は仕切られていた。
だが時代の発展とともに両者が会合を交わす必要性が生じると、そうしたパブの構造が邪魔になってしまう。だから何かしらの動機づけをして、中産階級の者と労働者階級の者が同じ部屋で飲めるように工夫をした。
その結果がフリーメーソンだという考察もできる。
江戸時代の日本にも「連」と呼ばれる社会階級を超えたホビーサークル文化が存在したが、その連とフリーメーソンは構造がよく似ているのだ。
■巷と交流のない組織
以上はあくまでも考察の域を過ぎないが、ひとつだけ断言できるのは「一般社会と疎遠な組織は怪しまれる」という事実。これはどこの国でも、どの分野でも言えることだ。
ここでは剣道の道場にたとえよう。ひたすら室内で稽古をしているだけのところと、町内会の活動に進んで参加するところとでは、近隣住民の意識に大きな違いが出る。稽古ばかりしていては「あの道場は何か怪しいことをしているのでは」という感情を持たれてしまう。
こうしたことが、「フリーメーソンは陰謀組織」というイメージにつながっているのではないか。
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年4月22日~2016年4月25日
対象:全国20代~60代の男女540名(有効回答数)