ドラマ『フラジャイル』にリアルではありえない設定!医師に聞いてみた

2016/03/14 07:30

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2016年3月16日、フジテレビで放送中のドラマ『フラジャイル』が最終回を迎える。

毎週欠かさず見ているファンにとっては非常に興味深く楽しいドラマだったが、じつはこの物語、医療に詳しい人たちによると「絶対にありえないこと」があるそうだ。

それは何かというと、松井玲奈さん演じる「火箱直美」の職業であるMR(医薬情報担当者)が、積極的に医者へ治療の臨床試験をするよう勧めたり、薬を手持ちすることは絶対にないということ。

これにはTwitterでも多数の人からツッコミが入っており、MRが医者とウナギを食べて接待したり、マンガだと超豪華な弁当が振る舞われたりするシーンもあるため「MRのイメージが悪くなっている」との意見もある。

だが、本当にネット上の意見のとおり、MRが医者に接待をして治験を受けさせるような手を使うことはあるのだろうか? 大学病院に勤める医師に話を聞いたところ、以下のコメントをもらうことができた。


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■MRが治験 の打診を医者に頼むことはあるの?

「むかしは豪華な接待をうけることもあったようですが、2012年から規制が強化されました(製薬会社225社による自主規制)。過剰接待による医者と特定の企業の癒着を防ぐために、ひとりあたりの上限金額が定められたようです。


現在も、製薬会社主催の講演会のあとには、情報交換会と称した立食パーティーが開催されますが、医者同士が会話を交わす打ちあげ的イベントなので、接待をうけている気持ちにはなりません。


ただ、全国規模の会のように食事が豪華になると、ここぞとばかりにお金をかけてきたな、と思うことはあります。MR側から誘われた場合は、交通費や宿泊費もたいてい負担してくれます。参加者確保のノルマがあるのだと思われます。


また、病院を訪問して薬品説明会をひらくときは、1,500〜2,000円くらいの弁当を持ってきてくれます。しかし、弁当の内容で他社と差をつけようという意図を感じたことはないので、これは単に慣習的なものなのでしょうか。」


なるほど、ドラマや漫画で描かれているような描写は数年前に製薬会社側の自主規制で無くなっているため、ネットの声のように今は無くなったと考えても良いだろう。

弁当についても2,000円であれば漫画のようにデカい海老が入っていたりすることはなく、そこそこ良いぐらいの物だと思われる。では、治験をMRが依頼するということはあるのだろうか?

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■治験について

「一般的に、MRの業務内容に治験は含まれないはずです。治験を依頼するのは臨床開発モニター(CRA)と呼ばれる別の職種です。


ただ、最初に話を持ってくるのがMRというケースはあるのかもしれません。治験の内容自体に積極的に関わるとは考えにくいです。」


こちらはドラマの設定でMRがどうしても治験に関わらなければならない感じだったので、都合上そうせざるを得なかったということだろうか…。

でも、実際に火箱のようなゴリ押し営業がMRからされたら、医者はどんな気分になるのだろうか? 押し負けてそのメーカーの薬を使うってことはあるの?


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■MRのゴリ押しについて

「多くの医者は、いい薬ならば使うし他より劣っていれば使わない、と考えているはずです。しかし、効果に大差がない場合は、企業イメージがいいほうの薬を選ぶというのはあります。


自社製品をごり押ししたり、訪問マナーを守らなかったりするMRは信用できません。結果として、その企業の薬はなるべく使いたくない、という心理になります。」


どうやらドラマのようなゴリ押しMRは、医者にとってあまり気持ちのいい存在ではないらしい。火箱に会ったときに中熊教授が不審がっていたような描写は、かなりリアルなものだったのかも。

設定はリアルだったりそうでなかったりする部分があるものの、フラジャイルは面白いと評判が高いのは事実。最終回はどんな展開を見せるのか!? 今からとても楽しみだ。

(取材・文/しらべぇ編集部・熊田熊男

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熊田熊男

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