ウルトラマンより人気!?ヒーロー怪獣の下積み時代に迫る【出口博之のロック特撮】
2015/10/19 19:00
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。先日発表になりましたが、私が所属しているバンド「モノブライト」が2016年1月に新体制となって初となるワンマンライブの開催を発表しました。
場所は東京と大阪の2カ所になります。ここでは特撮コラムニストですが、楽器を持ってミュージシャンに変身する出口博之を見に来ていただけたら幸いです。
だから、見ていてください、おれの変身!(仮面ライダークウガより)
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■めずらしい古代怪獣
ご報告はここまでにして、とある怪獣について考察したいと思います。シリーズ誕生から40年以上の時を経たウルトラシリーズには、膨大な数の怪獣が登場しています。
その中で、年代を飛び越えて数多くのシリーズ作品に登場する怪獣がいることをご存知ですか?
それは、古代怪獣ゴモラです。ウルトラシリーズには、誰もが知っているであろう人気怪獣が多くの作品に登場していますが、ゴモラは他の怪獣に比べて少し特殊な登場の仕方をしています。
どうしてゴモラはこんなに人気なのでしょうか? 時代によって変貌する古代怪獣ゴモラの人気の秘密と、登場作品を追ってみました。
■悲劇の怪獣、ゴモラの生い立ちと魅力
ゴモラが初登場した回は、ウルトラマン第26話「怪獣殿下(前篇)」、27話「怪獣殿下(後篇)」です。
・ あらすじ
ゴモラは、1億5000万年前のジョンスン島という孤島に生息していた恐竜ゴモラザウルスの生き残りとして発見され、日本万博博覧会へ展示されるため麻酔弾で眠らされた状態で移送されてしまう。
その途中、事故で目覚め大阪の街で大暴れするが、最後はウルトラマンによって倒される。
ゴモラの最大の魅力は何と言ってもデザインであり、怪獣としてのフォルムです。
恐竜の生き残り、という設定から基本フォルムは大型恐竜に準拠しており、そこに腹部のイボ状の突起、ずんぐりとした体格などの「怪獣らしさ」が絶妙にブレンドされています。
特徴的な頭部の三日月状の角は戦国武将の兜のような意匠で、シンプルながらも力強い印象を与えます。
ゴモラは実際に存在する大型生物(主に恐竜)のフォルムが下敷きとしてあるので、時代に取り残されない存在感を獲得しているのです。
■ヒーロー怪獣として子供たちの味方!
王道のストロングスタイルの怪獣として登場したゴモラは、ウルトラマンに登場したものとは同一の個体ではなく、新たに登場した怪獣という設定を取り入れながら、テレビや映画などの作品に登場します。
主な出演作だけで14作。シリーズ以外の番組やマンガ、ゲーム、テレビシリーズの劇場版などの出演も含めると、これよりも多いです。
特筆すべき番組は「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」のゴモラでしょう。
画像出典:Amazon
この作品でゴモラは主役に大抜擢されます。
怪獣同士が戦うゲーム「大怪獣バトル」を元に制作された番組で、ゴモラは怪獣使い(このネーミングはオールドファンにとってはたまらない)の主人公の使役怪獣の筆頭格として描かれています。
これにより、ゴモラは他の怪獣よりも頭ひとつ抜け出た人気やキャラクター性を確立させ、現在放送中の「ウルトラマンX」でも、物語の根幹を支える重要な怪獣になっているのです。
■怪獣バンド結成!? 音楽業界にも参戦
シリーズ作品を越えて登場しているゴモラですが、なんと音楽業界にも進撃しています。
画像出典:Amazon
ニューウェーブロックバンドPOLYSICSのメンバー、ハヤシさんは大の特撮好き(私の特撮友達でもあります)であり、好きが高じて怪獣のテーマソングを作り、アルバムにしたのがこの作品です。
このアルバムに収録されているゴモラのテーマソング「怪獣殿下 〜古代怪獣ゴモラ登場〜」のミュージックビデオでは、楽器をかき鳴らすゴモラ、という他では絶対に見られない映像が楽しめます。
■根性がある怪獣
魅力的な怪獣や、インパクトのある怪獣はいますが、ゴモラのように敵役から主役になり現在も最前線で物語に登場する怪獣は他にはいません。
多くの作品に登場し、たくさんの視聴者に地道に印象を与え続けてきた、いわば「下積み時代」があってこその今の地位なのです。怪獣界の叩き上げ、と言っても過言ではないでしょう。
力強くもどこか愛らしいゴモラは今もテレビで活躍中です。みなさんも是非追いかけましょう!
(文/モノブライト・出口博之)
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