【子供の疑問に回答】「ありがとう」の場面で「すみません」を言う大人の謎
2015/05/28 09:00
コンビニなどで買い物をしたとき、レジでこんな経験をしたことはありませんか?
「お会計、381円になります」
(1000円札を手渡すあなた)
「すみません、1000円お預かりします」
(店員、レジからお釣りを取り出しレシートを手渡す)
「619円のお返しになります」
(お釣りとレシートを財布にしまい、レジを離れるあなた)
「すみません、ありがとうございました!またお越しくださいませー!」
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■「ありがとう」の場面で「すみません」を言いがちな大人たち
上の店員の言葉に、違和感を持つ子供は少なくないといいます。
本来、「ありがとうございます」を使う場面で「すみません」や、さらに重いわびの表現である「申し訳ございません」という言葉を使う大人がいるからです。
事実、本サイトが実施したアンケート調査によると、男女1684人のうち、42.8%の人が「『ありがとう』を言う場面で『すみません』と言ってしまいがちだ」と答えています。
こうした子供たちの疑問に、どのような回答を示せるでしょうか?
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■答えは社会言語学にあり!
そのヒントは、社会言語学の論文に隠されていました。
1993年に書かれた社会言語学者・小川治子さんの論文によると、「わび」のセリフが「感謝」を示すようになっている理由として、もともと自分の気持ちが「済まない」「申し訳ない」ことを表していたものが、相手の負担にわびることによって、感謝の表現として使われるように変化していったからと書かれています。
つまり、感謝の「すみません」と、わびの「すみません」は、決して対立しているのではなく、一つの連続体として存在していたのです(小川治子(1993)「『すみません』の社会言語学的考察」『言語文化と日本語教育』6 お茶の水女子大学日本言語文化学研究会)。
したがって、最初の子供たちへの問いには、「相手への負担に対する申し訳なさの感情が表れたから」と答えることができます。
これは、英語圏の「Excuse me」と「Sorry」の関係にも同様のことが言えるでしょう。
とはいえ、あまりにそれを多用すると「すみません」と言われた側が違和感を持ったり、萎縮することも事実。
ときには「ありがとうございます」と、ストレートに感謝の気持ちを表現すべきなのかもしれません。
(文/しらべぇ編集部)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年4月17日~2015年4月20日
対象:全国20代~40代 男女1684名