「おっとり刀」響きは同じなのに意味は正反対?【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
2015/05/07 19:00
「知らないこと」を「知る」ことに、大きな快楽を覚えるハイパーメディアフリーターの黒田勇樹です。こんにちは。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
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■「おっとり」=「慌てて出かける」!?
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「おっとり刀」という言葉があるのをご存知でしょうか?
先日ニュース番組を見ていて耳にしたのですが、明らかに「急ぐ」であったり「慌てる」が使われるべきタイミングで「おっとり刀(オットリガタナ)」という言葉が聞こえてきたのです。
「おっとり」と聞けば、ほとんどの人がボーッとしていたり、ゆっくりしている様を思い浮かべるのではないでしょうか?
早速調べてみたところ、この「おっとり刀」とは、腰に下げる時間もなく「押して」「取った」「刀」のこと。つまり、慌てて出かける様子をあらわす「押っ取り刀」という言葉だそう。恥ずかしながら、筆者はこの言葉を知りませんでした。
「響きと意味は類似する」という仮説を推し進めてきたこの連載ですが、ここまで真逆、「響きは同じなのに意味は正反対」という言葉を見つけたのは初めてなので、今回はこのことについて考察したいと思います。
■なら「うっとり」=「打ち取り」では?
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より正確な解答にたどり着くため、「おっとり」と類似する響きを持つ言葉「うっとり」についても並行して考えてみたのですが、「うっとり」、これも「おっとり刀」の法則でいえば「打って」「取る」、「打ち取る」の変形なのではないかという仮説が成り立ちます。
「おっとり」も「うっとり」も、どちらかといえば穏やかなイメージを持っているのに対して、「押っ取り」も「打ち取り」も、語源であれば殺伐としすぎていませんか?
■「おっとり」と「うっとり」に起こった言葉の反転
筆者はこう考えます。「貴様」という言葉が、本来は相手を敬う言葉であったのに、現代では相手を侮蔑する時に使われるようになったように、「言葉の反転」が起こったのではないかと。
「おっとり」であれば、その昔、現代の「おっとり」とした状態の人に「もっと押っ取りしろ!」、つまり「急げ!」と、声をかけていたのが変化して、ゆっくりしている人を「この、おっとりヤロー!」と、呼ぶようになりいつしか「ゆっくりしている人」=「おっとり」となったのではないでしょうか?
「こんばんは」も、時代とともに、その後に続く「いい夜ですね」が省略されていますよね?それと同じことが起こったのでしょう。
「うっとり」も、「そんなにボケっと美人に見とれていたら、討ち取られるぞ!」からの「うっとり」
今回は、なかなか資料が見つからず完全に妄想ですが、かなりいい線いっていると自負できる自信作です。
ちなみに、「ハットリ」は「忍者」です。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)
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