(まずは10~9位)東京のうまいとんかつ屋ベスト10【マッキー牧元の世界味しらべぇ】

 2012年7月より、Facebook上で「東京とんかつ会議」を行っている。2週間に1回、第2火曜と第3火曜日にアップしているので、のぞいてもらいたい(友達でなくとも見ることはできます)。会議のメンバーは、山本益博さん、河田剛さんと僕の3人で、2週間に1回とんかつ屋に出かけ、評価するのである。

会議といっても一緒に出掛けて食べているわけではない。なぜなら一緒に食べると互いの感想が影響し合って、評価ポイントが似通ったり、自らの採点より点数が甘く(厳しく)なってしまうので、それぞれバラバラで出かけている。

評価は、3点満点で8項目。必ずロース定食(1500~2800円)を頼み、

1. (肉質など)
2. (衣の質や肉とのバランス、つき具合など)
3. (油の質、種類、揚げ具合、油キレなど)
4. キャベツ(質、鮮度、切り具合、甘み、みずみずしさなど)
5. ソース(質、味わい、香り、カツとのバランスなど)
6. ご飯(質、炊き具合、香りなど)
7. 新香(質、種類の多さ、とんかつとの相性など)
8. 味噌汁(質、香り、具など)

で評価する。

とんかつだけでなく、ご飯、味噌汁、お新香も評価の中に入れているのは、とんかつ定食が、日本が誇るべき、立派な和定食であるからである。これに特記(ヒレカツ、カキフライ、ポテトサラダなど、ロースカツ以外で図抜けておいしいもの)1点が加わり、満点は25点となる。評価3点は、とびぬけて質が高くおいしいもの。2は東京のトップレベル。十分に水準以上にたっしているもの。1は残念ながら、もう一歩水準には届いいていないものである。満点で25点は分かりづらいかもしれないが、4倍すると、おおよその10段階評価がわかる。

出かけたとんかつ屋さんは、57軒。回ってみて思うのは、現在、「第2次のとんかつブーム」であるということである。理由は3つ。

① どの店も繁盛している。
② 銘柄豚が増え、各店が工夫して銘柄豚を使いこなしている。
③ 客層が幅広い。男性客だけでなく、女性おひとり様もよくいる。

なお57軒の中で、3人が20点以上つけた店は、3人で一緒に再訪し、再び3人が20点以上つけると、「とんかつ殿堂入り」にしている。


関連記事:吉野家を食べ尽くす!こだわりの食べ方①【マッキー牧元の世界味しらべぇ】

■1o位 神田「万平」

それではまず10位。神田「万平」の「ロースかつ定食1650円である。

万平とんかつ (5)

いかにも町のとんかつ屋というさりげない佇まい。昭和25年創業来、半世紀以上に渡って人気を得ている店である。

揚げるのは茨城のいも豚で、中温で揚げてから、オーブンで油を焼き切る独自のやり方。

まず最初にキャベツと胡瓜の浅漬けが運ばれてから、とんかつが運ばれる。アルマイト皿も昔の流儀である。茶色の細やかな衣は、カリリと揚がって、肉にぴったり張り付いている。油切れもよく、気持ちのいいとんかつである。肉の中心は脂が掃除され、端の脂が多い部分はそのままで、その対比もいい。キャベツ、豆腐の味噌汁、ごはん共に、申し分のない、真っ当な日本の定食である。

万平とんかつ (7)

ソースはやや味が濃く、かけるなら少しだけかけた方が肉の味が生きるが、下町風に食べるなら、ソースをたっぷりかけ、辛子を浸けて、ご飯を掻き込むのもいいかな。

他にお奨めは、ハンバーグ。一瞬オムライスかと思う、薄焼き玉子包み焼きの豚肉100%のハンバーグはここだけにしかない。

万平_ハンバーグ1

ジューシーなカキフライもおすすめ。さらに奨めたいのがヒレカツ(定食1960円)。歯を包み込むようなしなやかな食感に、甘い香りが漂うヒレカツならではの幸せが訪れる、ロースと一緒に食べても引けを取らない、都内随一のヒレカツである。

万平ヒレカツとカキフライ (2)

関連記事:吉野家を食べ尽くす!こだわりの食べ方②【マッキー牧元の世界味しらべぇ】

■9位 荻窪「たつみ亭」

たつみ亭 (1)

9位は、荻窪「たつみ亭」のとんかつ定食1400円。

父と息子で営む、どの街にもありそうな庶民的なとんかつ屋である。食べてまず感じるのが、衣の香ばしさ。カリッと揚げたきめ細かい衣は肉に密着して甘く香り、豚肉の脂の甘い香りと出会って、惚れ惚れとさせる。脂身の部分は、もはや塩もかけず、素のまま食べてもご飯を呼ぶ力がある。脂は、甘い香りだけを残して、するりと溶け、後口のキレがいい。ロースを食べる喜びがある。

たつみ亭 (2)上ロース

甘酸っぱいとんかつソースは、卓上に置かれるが、衣を生かすためにジャブジャブかけないでほしいという想いも込めて、「浸けてお召し上がり下さい」と小皿に注がれる。

胡瓜、白菜、小梅のお新香も、カツの合いの手として実にいい組み合わせ。豚汁は、たっぷり入った根菜とネギの香りがいい。ご飯も、最上ではないが、良質。

たつみ亭 (3)たつみ亭トン汁

さらには、「上かつ定食」も是非。30分かけて揚げられる、厚さ4.5㎝、300gのとんかつで、優しい、甘みある豚のジュースがあふれ、このSPFポークの魅力を存分に味わうことのできる逸品。

たつみ亭 (4)上ロース

(文/マッキー牧元

・合わせて読みたい→吉野家を食べ尽くす!こだわりの食べ方①【マッキー牧元の世界味しらべぇ】

マッキー牧元

【Amazonセール情報】ココからチェック!